「木」で「汁物」をつくる…!?SNS「理解できない」 進化する作家、40日かけた〝最高傑作〟
具材のこだわりは
具材の三つ葉とかまぼこは、配置や着色にこだわりました。 三つ葉はバラバラなようで全てつながっていて、1枚の板からできています。「それが浮遊感を出している」とコンノさん。配置も計算してつくったそうです。 葉っぱの部分の色も、水中に沈んでいる部分は濃く塗り、葉脈を伝って水がのぼっているように見せました。 かまぼこも液体のなかにある想定なので、実際よりも発色を抑えた色を塗っているそうです。 コンノさんは実際に本物のお吸い物を何度も作り、どのような配置で沈んで見えるのか、光が当たっているのか、試しながらつくっていったといいます。 制作にかけたのは40日間。普段は1~3日でつくることがほとんどのため、いつも以上に「一切の妥協をしない」と決めた作品だったそうです。
目標も夢も持たないからこそ
完成したとき、自分でも「もう悔いはない」と思うほど満足したというコンノさん。 家族や知人に作品の動画を見せると、「え? どういうこと?」と理解が追いついていないような反応が多かったそうです。 SNSでの反応も驚きの声だけでなく、これまであまり寄せられなかった「天才」という言葉がいくつも書かれていたといいます。 「今回はとんでもないものを作ってしまったんだなという実感がありました。これまで実験を繰り返してきたからこそたどり着けた〝ひらめき〟だったのかもしれません」 今回が最高傑作だというコンノさん。書籍の発売や全国での展示会、子どもたちへのワークショップなど幅広く活動していますが、今後は何を目標に進んでいくのでしょうか? 「めざすものも夢も全くないんです。ただ自分がいまできるおもしろいこと、みんなが驚くことをやりたいだけ。これまでも木彫りの活動で目標は決めていませんでした。だからこそ自分がたのしいと思うことに全力で飛びつけて、可能性が広がっていったのだと思います」 SNSのフォロワーや展覧会のお客さんたちとのコミュニケーションを大事にしながら、引き続き「見た人を驚かせる、納得感のあるリアルな作品」を追求していくそうです。 ◇ ◇ ◇ 11月1日より、コンノさんの作品展「キボリノコンノ展」が札幌で開催されます。詳細はHPより。 https://www.htb.co.jp/event/kibori-exhibition/