職人気質を感じるシャンパーニュ、ジャクソン。7つのヴィンテージを垂直試飲して見えたものとは?
●キュヴェ743 &「真鯛のカルパッチョ」
2015年がベース。冬から春の大部分は暖かく雨が多かった。その後乾燥し、とても暑い日々が8月中旬まで続き、涼しく雨がちな日と暑く乾燥した日が交互に来て夏は終わった。収穫は9月10日に始まり、30日に終了。収穫は均質でブドウは完熟し健全。量的にも十分で、酸も満足できるレベルにあった。素晴らしいヴィンテージ。 シャルドネ50%、ピノ・ノワール25%、ムニエ25%。2019年8月に澱抜き。ドザージュ0!
●キュヴェ742 &「生ハム ジャーキー仕立て」
2014年がベース。冬は雨が多かったが、気温は穏やかだった。春は暑く乾燥したが、7月、8月は涼しく、雨が多かった。9月は暑く乾燥し、好天にも恵まれ、このヴィンテージを救ってくれた。アルコールと酸の調和はとれ、ブドウの衛生状態はおおむね良好。一部の区画で酢酸菌が発生し、収穫の段階で厳しくブドウを選る必要に迫られた。 シャルドネ50%、ピノ・ノワール30%、ムニエ20%。2019年2月に澱抜き。ドザージュ1.5g/ℓ。
●キュヴェ741 &「スモークサーモン ブルスケッタ」
2013年がベース。冬はとても寒く雪が降った。春から初夏にかけても涼しく、雨がち。開花不良や結実不良が起こり、開花は遅れ、成熟も遅れた。8月および9月は暑く乾燥し、収穫は遅れたものの、素晴らしいブドウが摘み取られた。とりわけうまくいったのがアイとディジーのピノ・ノワール、アヴィーズのシャルドネである。 シャルドネ60%、ピノ・ノワール20%、ムニエ20%。2018年5月に澱抜き。ドザージュ2.5g/ℓ。
●キュヴェ740 &「和牛の炙りカルパッチョ」
2012年がベース。冬は寒く長引いた。春から初夏にかけては雨が多く、ベト病に見舞われた。しかし夏の終わりは好天で、量的には少ないが質的には申し分のないヴィンテージとなった。 シャルドネ50%、ピノ・ノワール25%、ムニエ25%。2016年12月に澱抜き。ドザージュ1.5g/ℓ。
シャンパーニュジャクソン、印象に残ったヴィンテージとは?
最も若いキュヴェ746がフレッシュで快活な印象なのは当然として、澱抜きからすでに5年以上も経っているキュヴェ741でもフレッシュさを失わず、生き生きとした状態なのが印象的。澱抜き後の甘味調整、すなわちドザージュは、最大でもキュヴェ741の2.5g/ℓとべらぼうに低く(6g/ℓ以下ならエクストラ・ブリュット、3g/ℓ以下ならブリュット・ナチュールを名乗れる)、キュヴェ743に至ってはとうとうゼロ。もっともそれはいささかやりすぎと思ったのか、キュヴェ744、745で0.75g/ℓ、キュヴェ746で2g/ℓと少しずつ元のレベルまで戻している。