81歳現役女医が75歳で筋トレを始めた理由 毎日食べる「野菜スープ」作りのコツも解説
唯一症状を緩和してくれたのがお風呂
生理時の過多出血で子宮筋腫の手術を受け、その際に両側の卵巣も摘出しました。そして始まった異常発汗、下半身の激しいしびれ、立っていられないほどの疲労感に倦怠感、全身の冷え……。女性ホルモンであるエストロゲンの低下による深刻な更年期障害でした。 体の不調は頭脳にも影響を及ぼし、もともと記憶力に自信があって手帳いらずだった私が、予定を間違えるようにもなりました。学会の予定を大幅に勘違いし、なんと本当の開催日の1年前に、開催場所の名古屋まで新幹線に乗って行ってしまったこともあったほどです。 ホルモン補充療法(HRT)や漢方、気功、鍼灸(しんきゅう)、あらゆる治療法を試みましたが効かず、結局は時の経過が解決してくれるのを待つしかありませんでした。そうした辛い状況の中で、唯一、一時的であったとしても症状を改善してくれたのがお風呂だったのです。 入浴し、体を温めることによって明らかに調子が良くなる。脳を含めた体全体の血の巡りが良くなることで、症状が楽になるのです。身をもって、血流こそが健康の一丁目一番地であることを実感しました。
朝晩15分ずつの入浴
以来、私は病院での診療にも、鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学の元教授である鄭忠和(ていちゅうわ)先生が開発した「和温療法」を取り入れています。海外でも「WAON therapy」として広く認知されているエビデンスに基づいた治療法で、個室の乾式サウナに入るなどするのですが、肝(きも)は深部体温を0.5~1度上げる点にあります。 和温療法そのものは、実施している病院に行って受けるしかありませんが、要は体をしっかりと温めて血流を良くすることがポイントですから、家庭でもその要素を取り入れることはできます。つまりは「温活」です。平熱を1度上げられれば、免疫力は最大5~6倍になり、基礎代謝は10~13%アップするといわれています。 大切なのは、一気にではなく、中程度の温度でじんわりと体を温め、心地よく発汗して血流を改善させることです。そこで私は1日朝晩2回、必ず約15分湯船に漬かるようにしています。それに加えて、寝起きにコップ1杯の白湯を飲むのも欠かしません。内臓が温められ、やはり血流が促されて手足の冷えなどに効果があります。