81歳現役女医が75歳で筋トレを始めた理由 毎日食べる「野菜スープ」作りのコツも解説
筋トレを継続できている理由
しかし先ほど記したように、私は犬の散歩以外には運動らしい運動をしていませんでした。いきなり自己流で筋トレを始めてしまったら、逆に体を痛めてしまう危険があるのではないかと考え、パーソナルトレーナーについてもらい開始し、現在は月曜日と水曜日の週に2回、筋トレをしています。 具体的には1回90分で、筋膜リリース(筋膜のゆがみなどをほぐすストレッチ)や加圧トレーニングを含むメニューをこなしています。おかげで体重も戻り、電車とバスを使って元気に自分の脚で病院に出勤することができています。ちなみに、日曜日には足裏を含めたマッサージも受けています。 自分一人で筋トレを続けていくのには相当な忍耐力が求められます。一方、パーソナルトレーナーに見てもらう場合は予約が必要になります。予約してしまったらそう簡単には休めません。これが継続の源になってもくれているのです。 いまは「カーブス」のように、安価でコーチがサポートしてくれるジムもあるので、そうした施設を利用するのもよいでしょう。 90歳から筋トレを始め、100歳まで続けて元気に過ごされた方もいます。やはり、いくつになっても始めるのに遅過ぎるということはない。NHKの「みんなで筋肉体操」をきっかけに流行したフレーズ通りで、老後を健康に過ごす意味でも「筋肉は裏切らない」のです。
激烈な更年期障害との闘い
健康を維持・促進するためには、一に運動、二に運動。これがいまの私の考えです。しかし、運動をする狙いは筋肉を鍛えることだけではありません。もちろんサルコペニア、そしてフレイル(要介護一歩手前の老衰)対策として筋トレは欠かせませんが、健康にとって何よりも大切なのは、私の専門でもある「循環」、つまりは「血流」です。脳を含めた体全体の血流の改善こそが、動脈硬化対策の意味でも健康を保つ基本です。 そのためには、体を動かす筋トレが一石二鳥なのです。そして、血流を良くするためのもうひとつの基本が、次に紹介するいにしえからの教えです。 冷えは万病の元。 体に不具合が生じるとすぐに薬に頼ってしまう傾向がある現代人は忘れがちですが、改めて先人の教えに思いを巡らせてみるべきだと感じます。これは医師の立場からの啓発であると同時に、「患者だった私」の立場からの、実体験に基づいた身に染みた報告でもあります。 私の60代を一言で表すと「絶好調」でした。心身ともに満たされていて、これからの人生が楽しみで仕方がないというほど充実していました。それはもしかしたら、その前の10年超にわたる「暗黒時代」があったため、そこから解放された60代がより晴れやかに感じられたのかもしれません。48歳から59歳にかけて、私は激烈な更年期障害との闘いを余儀なくされていたのです。