海外メディア絶賛の「オーラリー」「ダブレット」「ターク」 日本人デザイナーの評価が急速に高まるなぜ
米「WWD」のアレックス・ウイン(Alex Wynn)は、「“クワイエット・ラグジュアリー”という形容詞が、岩井デザイナーが手掛ける『オーラリー』以上にふさわしいものはいない」と定義した。辛口ジャーナリストとして有名な「ファッション・ネットワーク(FASHION NETWORK)」のゴッドフリー・ディーニー(Godfrey Deeny)=国際編集長も、「パリでの2回目のショーは、岩井デザイナーの才能を証明するものであり、パリで最もクールなブランドの一つになろうとしている」と賞賛。「エレガント、またはリラックス、実用的またはフォーマル、本質的であると同時に洗練された『オーラリー』の服は、常に適切な場所に適切なタイミングで存在し、シンプルさにおいては完璧なように見える。ランウエイで私たちが見出したのは、日常生活とその美しさへの賛美である」と続けた。「オーラリー」の服は、素朴さの中に趣を感じさせ、風情のある情緒的な美しさが宿る。ファッション業界のトップに君臨し続けるメジャー級の日本ブランドとは異なる、一言では形容しがたい日本人らしい繊細な美意識が海外でも評価されている。注目度が上がればハードルは高くなるが、実績と経験のあるブランドだけに、次シーズンのショーにも期待できそうだ。
「ダブレット」
「スリル満点のブランド」
個人的に、海外メディアがどのようにリポートしたのか最も気になっていたのが「ダブレット(DOUBLET)」である。“推し活”というサブカルチャーに着想を得たコレクションだが、“推し”の翻訳だけでも難しい。“痛T”の意味、応援団長の変形学ラン、ゲストに配られた「指さして」などと書かれた応援ウチワまで、日本独特の“推し活”アイテムをどのように理解したのか、もしくはされなかったのか、興味があった。結論からいうと、ほとんどは理解されているようだ。ディテールはさておき、重要なのはユーモアとウィットに富んだクリエイションを通して、笑いを生み、幸せな気持ちを共有するという、井野将之デザイナーの意図が伝わっていることだろう。