海外メディア絶賛の「オーラリー」「ダブレット」「ターク」 日本人デザイナーの評価が急速に高まるなぜ
「執念のようなこだわり」
海外の主要な小売店のバイヤーと影響力のあるジャーナリストは、パリメンズ初日にショーを開催した「オーラリー(AURALEE)」に集結した。前シーズンにプレゼンテーション枠からショー枠に変更し、知名度を飛躍的に向上させて、海外での日本ブランドの評価を一手に担っている印象だ。同ブランドを今季のベストブランドと評した仏新聞紙「ル・フィガロ(LE FIGARO)」ジャーナリストのマチュー・モルゲ・ズッコーニ(Matthieu Morge Zucconi)は、記事でその魅力について語っている。「ここにはファンタジーや壮大なスペクタクルはなく、ただ服があり、美しく、シンプルで、それゆえに非常に魅力的なのだ。服を着るのが好きな全ての男性の、執念のようなこだわりが詰まっている。パンツの前面にあるフラップ付きのチケットポケット、襟の堅さ、ジャケットの肩の配置、レザーボンバーのパッチポケット、必要以上に伸びたギンガムチェックの袖の端、堅苦しく見えないように少し結び目を解いたネクタイ。同じトーンのカラーやフレッシュバターのイエロー、パッと目を引くカーディナルレッド、地味じゃないスカイブルー、極上のインディゴ。これはファッションではなく、スタイルである。『オーラリー』ほど個性豊かにスタイルを作れる人はいない」。
「ヴォーグ・ランウエイ(VOGUE RUNWAY)」のホセ・クリアレス・ウンズエタ(Jose Criales-Uzueta)は、同ブランド最大の武器である生地に着目した。「岩井デザイナーが全ての生地を自社で生産しているのは有名だ。それが、このブランドがパリで繰り返し話題になる理由の一つである。今季は、最も予想外の繊維を夏用の生地に仕立てるのが挑戦だったという。そして彼は、柔らかくて洗えるカシミアでセーターを作り、薄手の軽量ウールのシャツを作ることに成功した。『オーラリー』を単なるスタイルの良さだけで片付けるのは安易すぎる。服のスタイリングと、ランウエイで披露される絶妙なニュアンスは、間違いなく魅力の一部だが、それを並外れたものにしているのは、服が作られる際の配慮にある」。