海外メディア絶賛の「オーラリー」「ダブレット」「ターク」 日本人デザイナーの評価が急速に高まるなぜ
「ターク」
「全く予想外の要素を結びつけた」
辛口なディーニーが絶賛していたのが森川拓野デザイナーの「ターク(TAAKK)」である。記事は「西洋のテーラリングと日本の威厳、そしてレースやギピュールなど、全く予想外の要素を結びつけた素晴らしいコレクション」という言葉から始まり、多彩な生地と緻密な装飾について賞賛した。続けて今季全体を振り返り、日本デザイナーの影響力について力説する。「『19世紀後半、日本は西洋の影響を強く受けて近代化に向かい、西洋の文化やライフスタイル、価値観を日常生活に取り入れました』と森川デザイナーは主張する。今日のヨーロッパの日本に対する評価は、中国との競争関係に比べてどれほど違うのか。そして、国際的にファッションに与える影響はどれほど違うのか。パリメンズがこれほどまでに異質だったことはめったにないが、最大の影響力を持つのは今や日本人デザイナーたちだ。山本耀司デザイナーや川久保玲デザイナー、渡辺淳弥デザイナー、そして新世代の阿部千登勢デザイナー、高橋盾デザイナー、そして何よりも森川デザイナー」と記した。
今回は紹介しきれなかった「キディル(KIDILL)」「M A S U」「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」「サルバム(SULVAM)」といった中堅ブランドも、パリメンズの公式スケジュールに名を連ね、世界を相手に堂々と戦っている。ショーの合間に、前シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」に参加したベテランジャーナリストのユージーン・ラブキン(Eugene Rabkin)に遭遇し、東コレの感想について聞くと「日本のデザイナーのレベルの高さに感動した」と話してくれた。パリメンズでの日本ブランドの躍進もあり、海外の業界関係者も間違いなく日本人デザイナーに注目している。今回紹介したデザイナーらを好例に、ひたむきにものづくりに取り組むブランドは、発表地がどこであれ、必ず実を結ぶ日が来るはずだ。感性を磨き、視野を広げ、チームと共に切磋琢磨し、デザイナーとして前進できるようエールを送りたい。