【仕事なくなる?そんなにすごい?】“AIがずっとしっくりこない”悩みへのけんすうさんの回答が超ハラオチ
AIしっくりこない族のウダウダ①「最近よく見る“AIっぽい美女”に違和感があります」
天野 もうひとつ大きなテーマとして、直感的に「AIの波に乗りたいと思えない」って思ってて。 たとえばネットで「AIっぽい美女」の画像が流れてくるじゃないですか。ぱっと見かわいいけど、なんか違和感がある。 けんすうさんがそういった分野でも「面白い」って思えてる理由はどこにあるんですかね? けんすうさん 「新しい道具がないとできない表現」が出てくるのが面白いと思ってるんですよねえ。 最近、生成AIで「コーラと人間をいかに自然に融合させるか」っていう動画を作ってたんですよ。ただ、コーラと人間ってあんまり融合しないんですね。 いろいろ試した結果、「髪の長い女性がトランポリンでジャンプした空中でコーラを頭にかけて、髪の毛と溶け合うのが一番自然とコーラと人間が融合する」。 すごくないですか?? 天野 (何が?) えーっと…今まで、コーラのCMとかでCGで合成してつくってた…みたいな映像とは違うと? けんすうさん つくれてたかもしれないけど、CGでつくるコストが500万円ですって言われたら、ジョークでもつくらないじゃないですか。 でも、生成AIだったらコストがかからないので僕は遊びでつくれた。 AIがないと生まれなかった動画だし、「トランポリンでジャンプさせるとコーラと人間は融合しやすい」って気付けたのは、たぶん世界で僕が初なんじゃないかと思うんです。 わかりやすい例で言うと、ファミコンとかのテレビゲームがない時代には『ドラクエ』みたいな表現は生まれなかったんです。ファミコンが生まれたから、それに合わせて新しいエンターテインメントの発想が生まれたわけですよね。 天野 あー…たしかに。 けんすうさん さっき天野さんが言ってた「AIっぽい美女に違和感がある」っていうのは、“既存の表現の置き換え”にすぎないからなんですよね。 たとえば、「肖像画っぽい写真を撮る」ってあまり意味がないじゃないですか。 肖像画と写真は全然別のものなのに、頑張って再現しても「なんかこれ肖像画っぽくないね」と言われちゃう。どれだけやっても違和感が出るんですよ。 画像生成AIとか動画生成AIでイラストレーターさんのイラストをそれっぽく再現する…とかは、最近よく叩かれてますけど、やっぱり価値がないんですよ。 天野 既存の表現の模倣はあまり意味がないってことか… “リアル系野球ゲーム”が出てきたときに、なぜか二頭身の『パワプロ』のほうがリアルに見えるな…と思ってたのを思い出しました。 けんすうさん 技術に由来した、新しい表現が出てくるから意味があるのに、既存と同じようなものをつくろうとしても、あんまり意味がないみたいなことだと思います。 天野 『新R25』でもAIを一部導入しようと試みていて、記事をつくらせて「なんかちょっと違う」みたいなことを繰り返してたんですけど、今のお話だと、使いどころが違う感じがしてきました… けんすうさん 「既存のプロセスの一部を生成AIに置き換えよう」とすると、ほぼうまくいかないんですよ。「今のほうがいいよね…」となってしまう。 たとえば、AIで記事化しやすいようなインタビューをする…とか、制作プロセス自体を全部変えるという発想になったほうがいいと思います。 もしくは、全然違ったビジネスができるんじゃないか?という発想をするとか。 電子書籍が出はじめたときに、「紙をめくる感覚がほしい」っていう声があって、「紙をめくってるようなインターフェイス」が開発されたりしたんです。 でも、それだとどこまで行っても「紙」ではないから、違和感が出るに決まってる。 天野 紙をめくる「シャッ」って音が出るとか… けんすうさん ほぼ意味ないけど、やりがちですよね。 それよりは、たとえば「目が悪い人や老眼の人のために、文字のサイズをすぐ変えられる」とかのほうが、明確に電子書籍のメリットが発揮できる。 そういう、まったく別物の新しい発想を考えるほうがいいなと思います。