“ミス慶應2024準グランプリ”の28歳女性が、「もったいない」と周囲に言われても、まずは「高卒で働くことにした」理由
市井の人々に取材し、人間関係や受験、恋愛などの岐路に立ったときの選択を取り上げる『Life Compass』というメディアがある。過度に悲惨な話でもなければ自慢に満ちた成功譚でもなく、より身近に感じられる点があらゆる世代から支持されている。 運営を担う土川満里奈さんは現在、慶應義塾大学に通う4年生。先日行われた同大学のミスコンでは、準グランプリに輝いた美貌を兼ね備える。一方で、高校卒業後、6年経ってから大学へ入学するなど、経歴も目を引く。彼女はなぜ、「著名人や有名人ではない人たちの選択」に焦点を当てたのか。
母校では「大学に行くのは当然」の空気が
――『Life Compass』、その人の人生のターニングポイントに着眼して記事が作られているので、とても興味深く拝読しています。まず、土川さんがこうしたメディアを立ち上げようと思ったいきさつを教えてください。 土川満里奈(以下、土川):ありがとうございます。簡単にいうと、自分が学生時代に「こういうメディアがあったら良かったな」と思うものを今作っている感じです。 私は愛知県名古屋市に生まれ、そのまま県内の進学校に通っていました。「大学に行くのは当然」という空気があって、実際、同じ高校から高卒で働いた人を私以外に知りません。当時の相談できる大人といえば、親、教員、塾の先生でしたが、いずれも大卒なんですよね。 もちろん真剣に相談に乗ってくれるし話も聞いてくれるのですが、「大学へ行ったほうがいい理由」は教えてくれても、高卒で働くという選択肢については詳しく知らないため、具体的なアドバイスをもらうことはできないんですよね。世の中には高卒で働いている人が大勢いて、その人たちが支えている部分も大きいのに。
高卒で働くのは「もったいない」と言われた
――当時の土川さんは高卒で働きたいと考えていたわけですか。 土川:というよりも、何も考えずに大学へ進学したくなかったんです。やりたいこともないのに、親がお金を出すからといって大学へ行くのは、私にはできませんでした。もしこのまま大学に進学したら、つまづいた時や辛くなった時に「誰かのせい」にしてしまうかもしれない。そう考えると、自分で選んだ道を歩みたかったんです。それで、高卒で働くことにしたんです。 ――友人の反応などはどうでしたか。 土川:昔から勉強は好きだったし、成績もいい方でしたので、「もったいない」と言われました。塾の先生からも同じような反応をされました。けれども、勉強したことが無駄になっているわけではないし、この先の人生で大学へ絶対に行かないと決めたのではなく、あくまで「今は行かない」という選択をしただけなので、自分の中では特にそこまで大きな決断をしたとは思っていなかったですね。