まるで崖に立つ家!? 「庭がほしい!」を建築家が驚きの発想で解決、”縁側”兼”空中庭園”で眺望抜群の住宅に
1階テラス。内と外の中間領域として、室内の延長としても、外部空間としても使うことができる。構造的にも経済的にも合理性の高い寸法で設計されている。
梁とテラスの接合部。木造の梁の上に金属のフレームを渡し、木の床板が張られている。「『容易に手を入れられそうなディテール』が建物に対する主体的な働きかけを促す」と江島さん。
現在は1階と2階の中央部分にのみ床が張られ、それ以外の箇所は梁のみが外壁から突き出すかたちとなっています。将来的には空いた梁にも床を張ってテラスを拡張できるようにしていますが、工事費の見積もり段階では10本の梁すべてに床を張り、全面をテラスとする計画だったそう。 「減額によって一部のみテラスを残したことで、この住宅のコンセプトがより強固になりました。現状空いている梁は、将来増築可能にするために土地が拡張されていると捉えることもできます。実際の敷地境界と実質的な建築可能領域との間のギャップが可視化された敷地条件と、前田さんの暮らし方があってこそ生まれたデザインです」(江島さん) また拡張可能性が残されたことで、住宅と向き合う意識にも良い効果があったと夫はいいます。 「いろいろな使い方の可能性があることで、今後この家を使ってどのように暮らしていくとより楽しくなるかを考える余地が生まれました。このままの状態で住み続けるのはもったいないと思わされる、もっと積極的に家に関わることを促すデザインだと思います。もともとマンションではなく一戸建てに住みたかったのは、つくるプロセスも含めて主体的に関わることで、家を自分事化したかったからです。その思いがより強化される家になりました」前田さん(夫)
減額と聞くと、さまざまな要望を諦めていくネガティブなプロセスというイメージが強いかもしれません。しかし江島さんは、過剰な要望を削ぎ落とし、本当に必要な欲求に絞るためには必要な工程だといいます。今回の設計では、テラスのほかに2階の個室壁も減額の対象になりました。
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