国保料、100万人は損しているかも?「所得税ゼロ」でも申告を。〈減額制度〉を正しく利用するポイントを解説
◆「世帯全員の所得」をきちんと申告する 前年中の所得について、世帯全員の所得をきちんと申告しているだろうか。 もちろん確定申告をしているならOKだし、アルバイトの給与所得のみで勤務先で年末調整を受けた人も所得の申告は必要ない。 しかし、2か所以上のアルバイトをかけもちしている人や、アルバイトとは別に業務委託で得ている収入がある人、勤め先で年末調整されていない人、年内に退職した人などは自身で確定申告をする、つまり所得を申告する必要がある。 また公的年金(国民年金、厚生年金、企業年金、恩給など)所得のみの人は申告する必要はないが、税法上所得申告が不要(給与収入103万円未満)の人でも、国保加入者は申告したほうがいい。 筆者居住地の区役所・K職員もこう補足する。 「日本年金機構から税部門への法定の報告がありますので、年金収入のみの方の申告は基本的には不要です。ただし例えば夫婦2人世帯でどちらも国保加入者で、どちらかは年金収入を得ているけど、もう1人は年金を得ておらず所得ゼロの場合、『私は所得がないから税申告をしなくていい』と思ってしまいがちですよね。でも少なくとも国民健康保険加入者の方はゼロならゼロと、各自治体の市町村の税係に申告してください。ゼロの方がきちんと申告することで保険料の減額が適用される可能性があります」
◆「収入」と「所得」は異なる 減額基準表を下の図表に記す。 あくまで世帯の総所得であるため、国保加入者が低所得者あるいは所得なしでも、国保に加入していない世帯主に所得がある場合、減額されないことがある。 もし親子の世帯で、親が年金収入のみ、子どもが年収を得ている場合「世帯分離」をして親が単身世帯になったほうがこの減額基準に該当する可能性が高い。「収入」ではなく「所得」である点に注意が必要だ。 ざっくりと「収入-必要経費=所得(事業所得、給与所得、不動産所得、利子所得など10種類)」である。厳密には「合計所得金額」「総所得金額」「総所得金額等」は異なる。 ただ一般的にそこまで理解する必要があるとは思えないので、最低限「収入」と「所得」は違うことを認識しておけばいい。ちなみに高齢者の公的年金等控除は大きい。