本屋にして福祉事業所「ててたりと」。「利用者」がつくる、とりたてて意味のある場所
ててたりとの書店員たちが選ぶ、あえて取り上げたい3冊
●『面倒だから、しよう』渡辺和子(幻冬舎) エピソードで印象に残るものがありました。横断歩道を歩いている子どもがトラックに轢かれそうになったときのことです。運転手はいまいましく思ったところ、子どもから「ありがとうございました」と笑顔で言われ、その運転手は、その同じような場面では徐行運転をして、道を渡る人の前では笑顔でいることを心がけたそうです。著者からは、穏やかに「今、を大事」にし、常に「生かされている」という姿勢が伝わってきます。人間は面倒だとやらないことが多いですが、面倒なことを避けずにあえて「面倒だからしよう」という生き方も、人生をよりよくするものなのかもしれません。そんな気持ちにさせてくれる一冊です。(山口) ●『ゲーム旅』toshibo(芸術新聞社) 時代に取り残され風化していく建物や乗り物たち。緑に包まれながら消えゆくその姿に神秘を感じられる本です。(古本) ●『“きれいな字”の絶対ルール』青山浩之(日経BP社) 知人から珍しく手書きの手紙をもらい、字体が綺麗だなと思ったことがあり、自分自身の字を意識したところ、クセ字だなぁと思ったり、日によって字体が変わったり、使うペンによって違う字体になっていることに気づかされました。未だに自分自身の“字”が定まってないことを実感していたところ、この本のタイトルが目にとまり、読んでみました。この本の良かった点は、自分の字体や書き方について分かりやすく説明しているところです。この本を読めば、誰でもすぐに実践できると思います。私も数十年付き合ってきた自分の“字”を確立したいという思いで読んでいます。(緒方)
朝日新聞社(好書好日)