「この年で妊娠なんて一生の不覚…」43歳未婚の看護師がまさかの妊娠。産んだはいいけどリアルは残酷。自由ナシの結婚とボロボロの身体で育児の現実を追う。
少子化が止まらない。1人の女性が生涯に持つ子どもの数に相当する『合計特殊出生率(以下、出生率)』は1970年代に2.0だった。それが年々減少し、2005年に当時過去最低の1.26を記録した後、2015年には1.45と一時的に回復したものの、新型コロナウイルスの影響も多分にあってか、2023年には1.20となり過去最低を更新してしまった。 危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。 「政府は少子化対策として様々な施策を実施しています。経済的な支援、教育費の負担軽減、働き方改革等。しかしこれらの施策が本当に必要な層に必要な量届いているかは疑問が残る部分もあり、批判的な意見も多く聞かれます」 このままでは少子化は加速の一途をたどるのではないか。危機感を覚える一方で、実は意外な現実もあるという。 「あえて家庭を持たない、あるいは結婚しても子を持たないという選択をされる方も増えている一方、実はひそかに増えているのがアラフォーの授かり婚だというのです」。 実際に43歳で授かり婚を経験した女性から話を聞いた。 ------------------------------------------------------------------------------
看護師の榎本美和さん(仮名・45歳)が妊娠に気付いたのは43歳の時。最初は大慌てだったという。 「一応付き合っている彼がいました。私は夜勤もしてて生活も不規則。そこまで頻繁に会っていなかったし、彼も当時45歳だし、出産なんて考えてもいなかったんです。だから正直な話、一生の不覚とさえ思いました」。 結婚したい思いはなかったのだろうか。 「30代までは結婚願望も人並みにありました。でもずっとご縁がなかったんです。だから妊娠はチャンスと思う反面、ここまで独りでやってきたのに、今さら人と生活するなんてできるんだろうかと不安も強かったのが正直なところです」。 仕事ではそれなりのポジションにつき、給料面も申し分なく、可処分所得は多かった。 「業務はハードですけど、自由な時間もある。好きなことを好きなときに出来る環境を手放すことを躊躇しました。でも身体は正直で変化は止められない。どうしようかと考えあぐねている間につわりが襲ってきて。お腹に本当に命が宿っているんだと気づかされました。悩んでいる場合じゃないと思い切って彼に相談しました。妊娠2か月の時でした」。 おろそうと言われたら諦めよう、そう考えていた美和さん。しかし彼は予想外の大喜び。 「絶対に産んでくれ!って言われて私も有頂天に。この人の子を産むんだ、私が母になるんだって、一気にアドレナリンが出ました」。 そこからはスピーディーに事が進んだ。籍を入れる手はずや物件探しも進んでやってくれた彼。行動力のある姿に惚れ直した。しかし、問題がひとつ。 「お互いの職場が遠くかったんです。2時間以上かかります。だから家選びで大きな壁にぶち当たりました」。 美和さんのつわりは酷くなる一方で仕事に行けない日が増えてきた。その様子を見た彼はいったという。 ―僕が養うから。仕事を離れてもいいんだよ。