<米大統領選2016>ジェブ氏が撤退 “保守本流”はどこに向かう?
「保守本流の一本化」はいつか?
それでは、「保守本流」が最後までまとまらない形になるのでしょうか。今後の日程を見ると、おそらく何らかの形で、トランプとクルーズ以外の中道の候補者の支持も高まっていくと思われます。というのも、今回のブッシュの撤退で、保守本流を支持する層がルビオに流れるかもしれないためです。ブッシュの選挙資金は比較的潤沢であるため、そのまま選挙戦に残ることもできました、勝ち目がないために撤退となりました。ブッシュは同じフロリダ州出身でかつては親しい関係だったルビオ支持に回るとみられています。 ブッシュ、さらには、今後ケーシックも撤退するとみられており、その支持層はルビオ支持に回ることになったとしたら、この段階でようやく「保守本流が一本化される」こととなるかもしれません。そうなった場合、現在の「トランプ対クルーズ」という構図が大きく変わってくるシナリオも考えられます。ただ、ブッシュやケーシックの支持層の中でもルビオの未熟さに納得できない人たちや、「保守本流」ではありますが、その中でやや右側の人たちはクルーズ支持に動くかもしれません。 連載第2回目は代議員獲得数第2位のクルーズについて考えてみます(日付はすべてアメリカ時間)。
■前嶋和弘(まえしま・かずひろ) 上智大学総合グローバル学部教授。専門はアメリカ現代政治。上智大学外国語学部英語学科卒業後,ジョージタウン大学大学院政治修士課程修了(MA),メリーランド大学大学院政治学博士課程修了(Ph.D.)。主要著作は『アメリカ政治とメディア:政治のインフラから政治の主役になるマスメディア』(単著,北樹出版,2011年)、『オバマ後のアメリカ政治:2012年大統領選挙と分断された政治の行方』(共編著,東信堂,2014年)、『ネット選挙が変える政治と社会:日米韓における新たな「公共圏」の姿』(共編著,慶応義塾大学出版会,2013年)