《ブラジル》クリスマスケーキ食べ家族3人死亡=猛毒ヒ素混入、息子嫁を逮捕
リオ・グランデ・ド・スル州最北端に位置するトーレス市で昨年12月23日、家族が作ったクリスマスケーキを食べて3人が死亡した事件に関して、身近な人物が5日に逮捕された。ケーキを作ったゼリ・ドス・アンジョスさん(61歳)の息子嫁デイセ・モーラ・ドス・アンジョス氏が、ケーキに猛毒のヒ素を入れた疑いで警察に連行された。姑ゼリさんは毒と心理的ショックのダブルパンチで、集中治療室で現在治療を受けているという。グローボやCNNブラジルなど現地メディアが報じた。 6日付G1記事「容疑者がヒ素をネット検索」によれば、デイセ容疑者は事件前にネットでヒ素について調べていたと司法裁判所が地元RBSテレビに認めた。容疑者の携帯電話のデータを分析した予備報告書によれば「ヒ素および類似の用語について、グーグルを含むネット上での検索履歴」があったことが示されている。 クリスマスイブの前日、ゼリさんの姉妹ネウザ・デニセ・シルバ・ドス・アンジョスさん(65歳)とマイダ・ベレニセ・フローレス・ダ・シルバさん(59歳)、ネウザさんの娘タチアナさん(47歳)が、ゼリさんが作ったケーキを食べて死亡した。デイセ容疑者は姑ゼリさんが家族にふるまうケーキを作ること知り、事前にその小麦粉にヒ素を混ぜたと警察は疑っている。 事件を担当するマルコス・ヴィニッシオス・ヴェロソ捜査官によると事件時、ケーキを食べた誰もが奇妙な味だと感じていた。ノイザさんとジョアンさんの10歳の孫がケーキを食べて味に文句を言うと、ゼリさんがケーキに手を当て「これ以上食べない方がいいわ」と止めた後、実際にケーキを食べた人たちは次々に体調を崩し始めたという。 毒を盛ったとされるデイセ容疑者は3人殺害と3人殺人未遂容疑の罪で逮捕された。トーレス警察署に連行され、州立女性刑務所に収容されている。 ノッサ・セニョーラ・ドス・ナベガンチス病院の研究所の最初の分析結果によると、死亡したノイザさんと生存者である少年とゼリさんの血液中からヒ素が検出された。毒物情報センターでもこれらの事実確認がされたと警察署は説明した。ゼリさんは唯一、ケーキを2口食べて生き残った。体調が回復し次第、彼女にも事情聴取を行う予定だ。 捜査当局は3人の被害者の遺体を死因鑑定機関である専門家総合研究所(IGP)に送検した。検死結果は今週中に発表される予定。5日の段階で捜査陣は約15人に事業聴取を行った。彼らの親戚宅にも捜査を行ったが一家の関係は良好で現在、遺族相続の争いも考えられないという。 しかし、6日の記者会見でマルコス捜査官は「家族は基本的に円満な関係を築いていたが、ある一人の人物によって相違が起きており、難しい捜査になる」と述べた。 捜査責任者のマルクス・ヴィニシウス・ヴェローゾ捜査官は6日の記者会見で「彼女(デイセ)が犯人であることを示す証拠はしっかりしている」と述べた。しかし、捜査に支障をきたす可能性があるため、犯行動機などについては明らかにしなかった。 6日付G1「デイセとはどんな女性」記事によれば、デイセ容疑者はゼリさんの息子と約20年間も結婚生活を送り、彼らはポルトアレグレ都市圏のノヴァ・サンタリタに住んでいる。家族に近い人物によれば、同容疑者と義母の間には当初から問題があった。同容疑者はネット上の職業プロフィールとして会計事務所、不動産、物流、病院会社での勤務経験があり、会計が専門と自称している。 また、ゼリさんの夫パウロさんが昨年9月に食中毒で亡くなっていることも、今回の事件を機に再調査されることになった。