ロシア軍、ポクロウシクへの包囲網狭める ウクライナは頼みの増援部隊が「自壊」
ロシアによるウクライナに対する全面戦争が4年目に入るなか、ウクライナ東部ドネツク州の要塞都市ポクロウシクの攻略がロシアにとって最も重要な目標のひとつになっている。ウクライナにとっては、この都市を守り抜くことが最も重要な目標のひとつだ。 【画像】ノボバシリウカ村を攻撃するロシア軍を迎え撃つため出撃したウクライナ軍の戦車 このため、ポクロウシク周辺の集落や農地では両軍の間で苛烈な接近戦が続いている。交通の要所であるポクロウシクには全面戦争前、およそ6万人が住んでいたが、ロシア軍による砲爆撃を何カ月も受けてきた結果、いまでは市民はほとんど姿を消している。 1月3日かその少し前、ウクライナ陸軍第59独立自動車化歩兵旅団の戦車1両が、ポクロウシクの南西13kmほどにあるノボバシリウカ村を攻撃するロシア軍部隊を迎え撃つため出撃した。おそらく敵による照準を合わせにくくするために、戦車は前進と後退を繰り返しながら、数百m先の樹林帯に潜む目標に向けて6発前後の砲弾を矢継ぎ早に発射した。 戦車の乗員はロシア軍部隊の進撃を遅らせることはできたかもしれないが、止めることまではできなかった。ウクライナの防衛戦略センター(CDS)によると、ノボバシリウカはロシア軍の手に落ちた。 第59自動車化旅団がポクロウシク防衛のために投入している戦車の種類は不明だ。定員2000人程度の同旅団はウクライナ軍で標準的なT-64BV戦車を配備されているが、ドイツ主導のグループが150両かそこらの供与を確約しているレオパルト1A5戦車の一部も受け取っている可能性がある。 第59自動車化旅団は運に恵まれていれば、組織が崩れている第155独立機械化旅団から中隊や大隊の一部も引き継げるかもしれない。より重量級のレオパルト2A4戦車を運用しているこの新編旅団は先月末、ポクロウシク方面に到着し始めたが、リーダーシップの破綻や兵士の大量脱走によってすでに崩壊しつつあった。 ウクライナとフランス、ポーランドが何カ月もの期間と多額の資金を費やして訓練や装備を施した第155機械化旅団を救うため、ウクライナ軍首脳部はフレッシュだが経験の浅いその所属部隊を、ポクロウシク方面の疲弊しているが経験の豊かな旅団に転属させ始めた。