ベストコスメ企画はなぜ盛り上がる? 編集長と美容ジャーナリストが分析
村上:ビューティ業界の人が定番品を作ろうと試行錯誤しているのを見ているからこそ、定番品を讃える場を作りたかったんです。ファッションは定番を作るのが上手だと思っています。「シャネル(CHANEL)」ではカメリアの花やツイードのジャケットが永遠に愛されるように。「ディオール」のニュールックもしかりです。ビューティは消耗品ということもありますが、どんどん変わってしまう。それがもったいなくも感じるんです。
加藤:変わらないものもあるし、進化しているものもある。ファッションに比べて化粧品は時代に合わせてシフトしていかざるを得ないと思います。エイジングケアだって、昔はそれほど取り沙汰されていませんでした。10年前は保湿一辺倒だったのが、エイジングケアになり、最近はフューチャーエイジングというキーワードも。それぞれの時代のなりたい姿、美しさにフィットした商品へと衣替えすることで進化するんです。
高次元では何冠取るかの戦い
コスメにとってベスコスはドレス
村上:メディアにおけるベストコスメ企画は今度どのように発展するのでしょうか。ビューティブランドにとっての重要度は増していますよね。
加藤:そもそも日本人は国民性としてランキング好き。テレビを見ていると毎日のようにランキング形式で食でも旅でも紹介されていますよね。対して欧米はランク付けはしません。ベスト10は選んでも、あとは自分に合うものを選んでというのがスタンスです。だから、ベストコスメ企画はこのまま続くとみています。加えてさまざまな媒体がベストコスメ企画をやるようになった今、ビューティブランドにとって高次元では“何冠取れるか”が大事になってきました。歴代のベストコスメ受賞アイテムにもリプロモーションをかけるのは、そういった背景があるからです。
村上:各媒体の価値観のもと選ばれているからこそ、1つのアイテムが何冠も取るというのは、さまざまな価値観に対応している証拠でもあるんでしょうね。
加藤:これも国民性だと思うんです。グーグル(Google)の評価も0.1でも高い方のお店を選んでしまう。ベストコスメも10冠よりも13冠がよく見えます。今の世の中にはたくさんのコスメが溢れています。中途半端なものは淘汰され、良いものしか生き残れないからこそ、化粧品会社は当然素晴らしい商品を世に送り出しています。それに対して、アワードという称賛はありがたいですよね。ベストコスメはコスメにとってドレスのようなもの。着飾ることで、魅力が増して映えるんです。そのためにベスコスを取りたいし、何冠も狙うことにつながるわけです。