ベストコスメ企画はなぜ盛り上がる? 編集長と美容ジャーナリストが分析
村上:この年末のベストコスメ企画では、売れている理由をもっと深掘りしていきたいです。商品の解説よりも「なぜ」が際立っていた方が読者にとって気づきになりますよね。
加藤:おっしゃる通り。バイヤーの人たちのコメントをもっと知りたいです。「WWDBEAUTY」の読者は業界関係者やファッション・ビューティ業界を志す学生が多いはず。そう考えると、トレンドの一端を担うバイヤーのコメントから売れている背景や未来予測にボリュームがあると読み応えがありますよね。「トレンドキーワード5」や「トレンドキーワード7」のように、業界の今が分かるようなニュースがピックアップされていると話のネタにもできるし、良いと思いますがいかがでしょうか。
村上:ファッションではパリコレクションやミラノコレクションを取材して、半年先のトレンドを予測して解説しています。ベストコスメ企画でも同じことをやりたいですね。
媒体の色が映るベスコスは
コスメ難民の読者に納得感を与える
村上:加藤さんは美容ジャーナリストとして、さまざまな媒体とお付き合いがあると思います。そもそもベストコスメ企画とはどのような企画でしょうか。
加藤:美容好きや美容フリークから見ると、美容誌にはそれぞれ色があって、読者層が異なっています。愛らしさを大切にする「マキア(MAQUIA)」、硬派なイメージの「ヴォーチェ(VOCE)」、勉強熱心でテクノロジーへの納得感を重視する「美的」。媒体のイメージにあったアイテムがベストコスメに選ばれている印象です。ただしときに同じアイテムが各誌のベストコスメを総ナメにすることがあります。それはエポックメイキングな商品であり、一大ムーブメントを世間で巻き起こしたという証拠なんです。例えば2017年に発売した「ポーラ」の“リンクルショット メディカルセラム”などが代表的なもの。一方で美容液部門やクリーム部門では全くことなるアイテムが選ばれることがあります。色気やテクノロジー、使いやすさなど、それぞれの視点で評価されているからこそです。ファッション誌のベストコスメ企画を見てみると、差別化がさらにはっきりと見えてきます。シェアコスメに注力している媒体であれば、ジェンダーレスなパッケージも加味されるでしょう。媒体特性が反映された審査基準がありますね。