ベストコスメ企画はなぜ盛り上がる? 編集長と美容ジャーナリストが分析
村上:その視点で各誌のベストコスメを見てみると面白いですね。さまざまな媒体がベストコスメ企画に力を入れているのは、裏返してみると各媒体の特色に応じてコスメを選べるぐらい市場が豊かになっていることでもありますよね。
加藤:世の中には化粧品があふれ、トレンドは多岐に渡ります。何を選べばよいのかが分からないスキンケア難民やメイク難民が増えてしまっています。「自分が使うべき化粧品は何?」と考えたときに、ベストコスメが参考になるわけです。自分と同じ雰囲気を持つ媒体のベストコスメを参考にコスメを購入することで納得感が得られます。
ロングセラーの背景には
明確かつ斬新な技術革新あり
村上:加藤さんが過去のベストコスメ受賞アイテムで印象に残っているものは?
加藤:ブレイクスルーを作ったコスメは、ベストコスメに選ばれ、ベストセラーになると思っています。例えば「アルビオン(ALBION)」の“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル N”。発売当時は化粧水といえばピンクがかった透明で、香りはフローラルが主流でした。しかし“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル N”は半透明の白濁した色みで清涼感のある香り。トレンドとは真逆と言ってもいいでしょう。けれどもベースに「アルビオン」の乳化技術があるからこそのテクスチャーなのです。目新しいがゆえに発売直後は苦戦したと聞きます。「SK-II」の“フェイシャルトリートメントエッセンス”や「コスメデコルテ(DECORTE)」の“リポソーム アドバンスト リペアセラム”も同様です。しかし徐々に商品の素晴らしさが評価されて、今ではベストセラーになっています。
村上:メイクのカテゴリーでは「ディオール(DIOR)」の“リップマキシマイザー”にも同様のストーリーを感じます。リッププランパーという新しいカテゴリーを開拓しましたよね。
加藤:ロングセラーに通じているのは、明確かつ斬新な技術革新があるということです。「WWDBEAUTY」のベストコスメでは定番品にも光を当てていますよね。ロングセラーを深掘りして過去から未来までを見通せると、新しい化粧品を産み出そうとするときに参考になるのでは。