なぜラグビー日本代表は格下のポルトガルに苦戦したのか…中野らテストした新戦力に収穫も
最前列中央のフッカーでは、ワールドカップ日本大会メンバーの最終候補まで残った堀越康介が先陣を切った。ラインアウト、スクラムを安定させ、後半13分には防御を切り裂く走りで得点を演出する。19歳のロック、ワーナー・ディアンズは、まだ勝負のついていない後半36分に初陣を飾った。ひりひりするテストマッチを芝で体感できたことは、決して無価値ではないはずだ。 何より指揮官が褒めたのは、アウトサイドセンターとしてテストマッチデビューの中野将伍だ。24歳。身長186センチ、体重100キロのサイズを攻めで活かした。 前半4分、敵陣中盤左で味方スタンドオフの松田力也からのキックを捕球。防御に捕まりながらもオフロードパスを放り、山中のラン、さらにはウイングのシオサイア・フィフィタの先制点を演出した。前半終了間際には、やはり敵陣中盤左で松田のパスコースへ巧妙にカットイン。防御を振り切り、代表初トライをマークした。 本人は、細かいプレーの精度を課題としながらも、こう述べる。 「最初からアタック、ディフェンスともにアグレッシブにプレーすると設定して臨みました。周りの選手がサポートしてくれて、あまり迷いなくプレーできたと思います」 ジョセフ・ヘッドコーチもこう評価した。 「日本ラグビー界の未来にとって、楽しみです。限られた時間でチャンスを作ってくれた」 この秋の日本代表は、検討課題と発掘すべきキャラクターの両方を抽出している。視線の先には、2023年のワールドカップフランス大会がある。 中野は「センターの争いに勝って試合に出続ける。成長し続けるように1試合ずつフォーカスしたい」と言い、中村は「急に強くなるわけではない。1個、1個、いい積み重ねをして、次へいい準備をしたいです」と前を向いた。 20日、今回の欧州ツアーを締めくくるスコットランド代表戦がエディンバラのマレーフィールドで行われる。スコットランド代表はアイルランド代表と並んで欧州6強の一角。ワールドカップ日本大会での直接対決時は日本代表が勝っているものの、次のアウェーゲームが同じようになるとは限らない。 リーチは全ての現実を踏まえつつ、前向きにこう展望した。 「きょうの試合から反省点は出てくると思いますが、きょう勝ったことは日本代表にとって大きい。チームは成長の波に乗っている。次もいい準備をして、勝って帰りたいです」 (文責・向風見也/ラグビーライター)