なぜラグビー日本代表は格下のポルトガルに苦戦したのか…中野らテストした新戦力に収穫も
2019年のワールドカップ日本大会では順法精神を保ち8強入りを果たしたが、2021年は、ここまで5戦続けて2桁の反則を犯している。特にこの日は、頻繁に笛を吹くレフェリーのアンドリュー・ブレイス氏への対応に難儀した。 21ー11で迎えた後半開始早々、リーチが危険なプレーでこの日最初のイエローカードをもらい、まもなく自陣に閉じ込められ、21ー18と接近された。 28ー18と再び差をつけていた後半17分頃には、自陣ゴール前でインサイドセンターの中村亮土ゲーム主将がブレイス氏に呼ばれている。 日本代表がそれまでに反則を繰り返していたため、注意を受けたのだ。 「次にペナルティを犯すと、イエローカード、もしくはペナルティートライ(反則がなければトライが生まれたと判断され、7点を失う)があり得ます」 その内容を伝えた時の仲間は「そんなに焦ってはいなかった」と中村。しかし、31ー25と安全水域に入ろうとしていた終盤、中島がチーム2枚目となるイエローカードをもらってしまった。ジョセフ・ヘッドコーチは、こう続ける。 「フィフティ・フィフティの(いかようにも解釈できる)コールはあると思うし、ブレイクダウンではタフな判断がなされうると思います。ただ、レフェリーへはアジャストすることでイエローカードをなくさなければいけない。ほとんどがディフェンスのペナルティなので、特にそれを修正したい」 さかのぼって6日には、ダブリンのアビバスタジアムでアイルランド代表に5ー60で大敗している。そしてリーチ・マイケル前主将が「接点(ぶつかり合い)で負けたらテストマッチ(代表戦)は勝てない」と振り返って迎えたポルトガル代表戦でも苦しまされたのである。 ワールドカップ日本大会での日本代表8強入りを見てラグビーファンとなった人々には、いまのナショナルチームは停滞しているように映るだろうか。 しかし、リーチは、「タイトなゲームを乗り切ったことはプラス」と話す。チームは苦戦を強いられたが、苦境に立たされているわけでは決してない…。そう、強調したげだった。 「(日本代表は)ゴールが明確で、チームのコネクトができている時は、うまく行っている。それがない時は、ちょっと苦戦するところもある。ただ、いまはチームのコネクトもよくなっている。先週(試合前)の準備では亮土が日本代表の意志について話してきていて、より一体感が出たと思います。(レギュラーに)新しいメンバーがいるなかでも、いい準備ができたと思います」 そもそも、このポルトガル代表戦の狙いのひとつは選手層の拡大だった。実際、アイルランド代表戦から先発を10名入れ替えた。誇りを取り戻すための80分は、レギュラー候補のオーディションにも活用された。