K-POP名MC古家正亨さんが考える、私たちが韓国にハマる理由とは?「K-POPの仕事現場はクセになるんです」
しかし、当時は韓国の文化が日本にほとんど知られていなかった時代。壁が大きかったといいます。
90年代後半、韓国のポップカルチャーは日本で受け入れられていませんでした。限られたマニアのものでしたね。 そんな時代に、カナダという第三国で、韓国の人と出会ったのは大きな経験でした。当時の日本人は「日本は先進国」という意識が強く、外国に行って韓国人や中国人に間違われると「なんで一緒にされるの?」と思うような風潮だったんですよ。カナダに行って、僕は「日本ってこんなにちっぽけな国なんだ」「僕はアジア人なんだ」と気づかされました。 そして、これからは日本人がアジアの中での立ち位置をしっかりわかっていないと、世界から取り残されると思ったんです。だからカナダにいるよりもプラスになると思い、韓国に行きました。当時はカナダよりもはるかに行きづらい国だったんですよ。韓国人の友達にすら、「どうして日本人が韓国に行く必要があるの? 何を学ぼうとしているの?」と引き留められたんですから。だけど僕にとってはそれがますます、韓国に行く原動力になりました。
自分に課している"役目"
そうして古家さんが降り立った、90年代後半の韓国。「思っていたよりもはるかに発展していた」「独自の文化があると同時に、日本からの影響も思った以上に受けていた」と振り返ります。そして、「思っていたよりも、日本人のことを理解していた」とも。
日本のメディアはすぐに「反日」と報じたがりますが、実際に行ってみたら決してそんなことはなく、皆、すごく良くしてくれたんです。最近でも「ノージャパン」をスローガンに掲げながら、反日機運の高まりをメディアが報じていましたが、ソウルの街中にはいたるところに日本式居酒屋があって、そこで普通に日本食を食べていましたし。政治的な摩擦もありながら、そうじゃない側面もあることを知ったわけです。
その後、韓国ドラマ『冬のソナタ』で知られる俳優ペ・ヨンジュンさんの初ファンミーティングのMCを皮切りに、KARA、BIGBANG、BTSなど、名だたるアーティストや俳優のイベントMCを務めるようになりました。日韓の橋渡し役として大事にしているのが、古家さん自身の歴史のとらえ方だといいます。