逮捕状握り潰し「ほとんど後追いがなかった」伊藤詩織さん会見7月20日(本文4完)
性被害と共に生きている方に伝えたいことは
毎日新聞:長くなってすいません。毎日新聞の塩田です。長いことお疲れさまでした。今日、最後、こうやって公にお話しされるの最後だっていうことでお伺いしたいんですけれども、以前インタビューなどで、性暴力被害は乗り越えるものではなくて、それと共に生きていくものだということをおっしゃっていました。今もそういうふうにして性被害と共に生きている方がたくさんいて、詩織さんのこれまでの闘いをそういう方たちが見てきたと思うんですけれども、今そういうふうに生きている人たちに向けて最後に何か伝えたいことがあれば聞かせていただけますか。 伊藤:本当に共に生きていくことで、ほかのことでもそうかもしれないけど、今日は大丈夫って思う日もあれば起き上がれない日もあって、その繰り返しで、いったい自分がどこに向かうのか分からなくなってしまう日もあると思います。私も、今でもあるんですよね。ただそういった中で、それに素直に、あらがわずに心と向き合ってみるっていうのがこの数年、少しずつできるようになったかなと。それが1つ、ある意味での回復なのかなと私は捉えてます。やっぱり以前はそこに向き合うこともできずに走り続けていたんですけど、最近サバイバル、サバイビング、生き残るっていうところからやっと生活に変わってきた気がして、その中でもいろいろなことがあるけれども、そうやって私たちはたぶんトラウマと、またいろいろな経験と生きていくのかなと思うんですけど。
たぶん今日は飲みます
とにかく自分の心に浮かぶことであったり、その気持ちに素直に向き合うこと、すごくそれは大変なことだし、時間が掛かると思うんですけど、いろいろな、やはりこういった報道であったりだとか、こういったことを言ったらいけないんじゃないかって思ってしまうことはあるかもしれないけれども、自分にはとにかく正直になってほしいし、やはりそこで口をつぐんでしまうと、どこかでそれが苦しくなってきてしまうと思うので、それを、周りは必死にそれに耳を傾けることが必要だと思いますし、本当に自分の真実を信じて、どんなことを周りから言われても、どんなことを注意されても、ひたすらに自分のことに耳を向けるっていうことと、まず少しでも余裕があったら自分をかわいがってあげること。私は周りで一緒にワインを飲んでくれたり、癒やしてくれる猫がいたので、ここまで、毎日起きて今日も来ることができたんですけど、たぶん今日は飲みます。ありがとうございました。 司会:よろしいでしょうか。はい。ありがとうございました。じゃあこれで会見を終わらせていただきますが、ちょっと2点ご連絡がありまして。まず1点目は、皆さまのお手元にお配りさせていただいております、伊藤詩織さんの民事裁判を支える会へのご寄付のお願いというのがございます。先ほど伊藤からもお話しさせていただきましたけれども、まだ弁護士の先生たちへのお支払いを待っていただいたりですとか、まだ裁判も抱えておりますので、ぜひできる範囲でこの件を、ご寄付のお願いというのを伝えていただけると大変ありがたいです。それから会場なんですけれども、1時完全撤収でちょっと机とか戻さなきゃいけないので、できれば40分ぐらいまでにご退出いただけるとありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、というか、ずっと会見に来てくださった皆さまも本当にありがとうございました。最後、あ、ごめんなさい、伊藤から一言。新畑さん、いらっしゃいます? なんか一言。 新畑:ここでいいでしょうか。いいですか。 司会:支える会の新畑さんで、代表の。 新畑:支える会の新畑と申します。 伊藤:なかったら。 新畑:いや、一応準備はしてきたので。支える会の新畑と申します。支援者の方向けにちょっとお話をさせていただきたいと思います。これまでこの裁判を支えてくださった支援者の皆さまに向けて、まず初めに、この判決確定に至るまで裁判を支えてくださった多くの支援者の皆さまに感謝を申し上げます。実に性暴力の被害から7年、訴訟を提起してから5年もの歳月を要したということになります。