逮捕状握り潰し「ほとんど後追いがなかった」伊藤詩織さん会見7月20日(本文4完)
支援者に心からの感謝を申し上げたい
伊藤さんがご自分の顔と名前を明らかにされたのが2017年の10月のことでした。この間、伊藤さんは性犯罪の被害者を取り巻いている社会的・法的状況が、被害者にとってどれほど不利に働くものなのか訴え続け、粘り強く問題提起をされてきました。この民事裁判の本訴の結果はその努力が結実したものと言えるのではないかと思っています。また同時に、伊藤詩織さんを支援する皆さん1人1人が、それぞれの置かれた場所で共感を広め、一緒に闘ってくださった結果であるとも思っています。 また、この間、支援者の皆さま方からたくさんの温かいメッセージをいただきました。一例を挙げますと、あなたが声を上げてくれたことで、この世の中でどれほどの人たちが勇気と力を与えられたでしょうか。また、私はあなたです、あなたの痛みは私たち全ての痛みです、などです。同じ苦しみを抱える方々からも本当に数え切れないほどのメッセージをいただき、伊藤さんは支えてくださる皆さんと共にこの裁判を闘い抜きました。支援者の皆さまに重ねて心からの感謝を申し上げたいと思います。 一方で、相手方の反訴で、公表行為全体の内のごく一部に名誉毀損が認められたことは残念なことでした。告発の声を上げる方で次のような発信をされている方がいましたので、シェアをさせていただきます。彼らは、告発すれば、たちまち私が名誉毀損の加害者とされる。社会が変容しない限り社会から出ていくことを勧められるのは性加害者ではなく性被害者だというものです。確立された裁判例を覆すには1つ1つの裁判の積み重ねが必要だということを聞きました。伊藤さんに触発され、今まさに自ら訴えを提起して闘っているという声もいただきます。この裁判は一区切りではありますけれども、私たちは今も、今なお闘い続けていらっしゃる方々と共にこれからもあります。連帯していきたいと願っています。
社会にはまだブラックボックスがあると思う
それから最後に会からの寄付のお願いをさせていただきたいと思います。今回、最後、最高裁の決定を受けて2審判決が確定となりましたけれども、訴訟提起から5年もの歳月が掛かり、約2年前には名誉毀損等の裁判が3件加わりました。1件は昨年、判決言い渡しとなって確定となっていますけれども、現在も2件の裁判が進行中で、引き続き裁判費用のためのご寄付を必要としています。これらの裁判を伊藤さん1人で闘うということは困難で、思いを共にするメンバー、有志で発足した支える会がこれまで寄付を募って裁判費用を支援してまいりました。 裁判のためにこれまで大きな費用が掛かっており、内訳としましては、お渡しした書面にあるとおり資料作成や調査費用などの裁判費用に18%、弁護士費用に41%、それから意見書作成費用や医療費、事務費、広報費に30%、その他会の運営に係る費用として、ホームページ維持費等に3%、会見管理や報告会、登壇者謝金として4%、消耗品・通信運搬費として4%となっております。このような項目に費用が掛かり、現在は弁護士費用のお支払いを一部お待ちいただいている状況にあります。また、先にお話ししたとおり、現在もほかに2件の訴訟が継続しており、裁判のための資金を必要としております。多くの皆さま方から、これまでご支援やたくさんの応援メッセージをいただきました。本当にありがとうございます。伊藤さんの裁判に引き続きご関心と応援をお寄せいただき、ご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。以上です。 伊藤:ありがとうございました。今日はなんか休暇を取ってきてくださったようで、こうやって有志の方々が集まってくださることによって続けられてきた、本当に、裁判です。ありがとうございます。そしてこの会の名前も最初、Fight Together With Shioriという名前を付けていただいたんですけど、私は名前を出してやったけれども、私としてのケースではなく、もっと大きなケースとして見てほしいということで、Open the Black Boxという名前で活動してくださいました。本当にまだまだ開いていないブラックボックスがこのケースの中でもあると思います。そして社会の中にもまだ潜在しているブラックボックスがあると思います。それを1つ1つメディア側としても個人としても、少しでも光を当て、開けられるように今後も進んでいきたいと思いますので、これまで本当にありがとうございました。西廣先生、ありがとうございました。ありがとうございました。 司会:皆さま、ありがとうございました。すみません、30分超過いたしましたけれども、撤収が1時ですのでご協力いただけると大変ありがたいです。どうもありがとうございました。 (完)【書き起こし】伊藤詩織さん会見7月20日