「結婚しないの?」現状に満足しているのに実家に帰ると結婚を急かされる…【「帰省ストレス」を臨床心理士が解消】
体と同じく、ココロも健やかな状態でいたいものだけど、メンタルケアはなにかと根性論や「気の持ちよう」で語られがち。悩みは、実は心理学的なテクニックで対処できるものも多いという。 【写真】「結婚しないの? 」の問いかけに困った時の対処法は? そこで、臨床心理士の南舞さんが、読者のお悩みに具体的な対処法をレクチャー。今回は、30歳の女性からのお悩みについて。 ▼南舞/臨床心理士
「結婚しないの?」現状に満足しているのに実家に帰ると結婚を急かされる…
相談者Hさん:私は今年30歳になります。現在は地元を離れ都内で生活しているのですが、実家に帰省するたびに母親や親戚から「まだ結婚しないの? 」と言われることが増えました。現在、彼氏はいません。仕事も任されるものが多くなってきて、現状に満足しているので、結婚は急いでいないのですが、そのことを話しても、まだ心配されてしまいます......。どうしたらよいでしょうか? 臨床心理士・南さん:Hさん、お悩みありがとうございます! 30歳という年齢は、【結婚】の2文字がリアルになってくる頃ですし、家族や親戚としては関心が高いトピックで、自分は避けたいと思っていても、なかなか避けられない話題でもありますよね。 結婚に対しても多様性が認められやすい世の中にはなりつつありますが、それでも親や親戚の世代は、「結婚=幸せ」という価値観がまだまだ強かったりもします。結婚に対する周囲の期待がプレッシャーに感じること、そして、Hさんの中では現状に満足していて、まだまだ仕事を頑張りたいという気持ちでいるという、自分と周囲の間に起きているギャップ、しんどいだろうなとも感じました。特に、帰省したらおそらくまたこの話題が出てくるでしょう。久しぶりに家族親戚で集まっているのですし、その場の空気を乱したくない、でも自分の気持ちも大切にしたいという両方の気持ちがあるのではないでしょうか? 何とかうまく乗り切ってほしいという思いも込めて、対処法をご紹介したいと思いますね。
心が揺れ動く時にこそ意識したい、心理的な境界線とは?
帰省中は、家族や親戚と物理的にも精神的にも距離が近いため、自分では意識していなくても、無意識のうちにプレッシャーを感じやすくなったり、周囲の意見に影響を受けやすくなるということも。 そんな時に役立つのが、心理的な境界線(バウンダリー)を意識することです。バウンダリーとは、自分と他者の考えや感情を区別する力、そして違いを違いとして認め、守るものです。心理的に苦しくなる時は、このバウンダリーがグッと近くなっていたり、逆に分厚くなりすぎている時が多いと言われます。 自分の中にある価値観を明確にし、心の中の整理をしておくと、たとえ何か揺さぶられるようなことを言われたとしても、必要以上に心が揺れ動くのを防ぐことができます。しかし、自分の中ではバウンダリーを意識したとしても、何度も結婚の話題について触れられるなど、相手が踏み込んでこようとすることもあるかもしれません。そんな時は、バウンダリーを守るために自分の意思を明確に伝えましょう。