未消化の炭水化物は胃や腸に負担をかけて<腸漏れ>の引き金に。専門医「うどんやごはんは消化がいいと思われがちだが、実際は…」
◆消化にかかる時間 ごはんや麺は、決して消化が悪い食べ物ではありませんが、実は胃の中に残りやすいのです。一方、肉などのたんぱく源となる食べ物が残っていることは、まずほとんどありません。 一般的に、消化にかかる時間が早いのは、炭水化物(糖質+食物繊維)、たんぱく質、脂質の順だといわれていますが、実際は違っているのです。 私たちが内視鏡検査で見てきた限り、食べ物が胃から小腸へと移動するのにかかる時間は、うどんが5~6時間 米、パンは早くて4時間ですが、いずれも遅い場合は8時間以上かかっています。 胃からは炭水化物を消化する酵素が出ないので、当然といえば当然です。一方、肉や魚などのたんぱく質は消化が悪いイメージがありますが、胃からも消化酵素が出るので、実は消化が早いのです。 実際、糖質制限ダイエットで、ごはんや麺、パンを抜いたり、極端に減らしたりして肉や魚介をメインにしたところ、すぐにお腹が減ってつらかった……という経験がある人もいるのではないでしょうか。それはつまり、炭水化物は腹持ちがいいということです。 そんな炭水化物を、朝昼夜と食事のたびに大量に摂っていたら、胃は1日中フル稼働。 もちろん、小腸も大腸も長い時間をかけて栄養を吸収し、水分を吸収していくわけですから、消化管の中は大渋滞! 未消化の炭水化物が胃内に長時間留まるせいで、消化・吸収が終わらず疲弊し、ダメージが積み重なります。こうしたことも腸漏れの引き金になるのです。
◆未消化の炭水化物による影響 未消化の炭水化物による影響はそれだけではありません。 適量の炭水化物を摂った場合は、ゆっくりと消化されていくので血糖値も適切に上がり、満腹中枢は十分に刺激されますが、吸収されていないごはんや麺などの炭水化物は血糖値を上げることはありません。 そのため、胃の中に炭水化物がまだあるのに体は認識することができず、体は空腹だと感じて「食べろ!」と司令を出します。 未消化の炭水化物があるにもかかわらず、また食べてしまい消化負担がさらに増してしまいます。 これが、お腹が空いていないはずなのに、なぜか食べすぎてしまう原因のひとつです。 もちろん、時間がかかったとしても糖は吸収されれば血糖値が上がりますから、食べすぎが続くと、高血糖が常態化し、今度は血糖値を下げるためにインスリンの分泌が過剰になり、太りやすくなるという魔のループに入ってしまいます。 早食いをしたときも、血糖値が上がって満腹を知らせるサインが出る前に食べすぎてしまうため、結果的に高血糖が長時間続き、インスリンの過剰分泌で太りやすくなります。 食べすぎ、高血糖の常態化を防ぐためにも、炭水化物はよく噛んで食べることも大切なのです。
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