体が柔らか過ぎる「二重関節」は慢性疾患のリスクが高い、コロナ後遺症も、なぜ?
ウイルス感染は特に危険
新型コロナ後遺症や、それに関連した体位性頻脈症候群(POTS)、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)などを抱える患者はよく、便秘や頻脈、ブレインフォグ、筋肉痛など、一見関係のなさそうなさまざまな症状を訴える。 しかし、これらの多様な症状の根底にある原因は、それほど謎ではないかもしれない。「症状どうしが結びつかなければ結合組織を考えよ、という格言があります」とパワーズ氏は言う。 ウイルス感染がどのように結合組織を損傷するかはまだ正確にはわかっていないが、仮説はいくつも立てられている。例えば、ウイルス感染が結合組織の炎症を引き起こし、それが「結合組織を傷つけるということはあり得ます」とミュニパリ氏は言う。 新型コロナ感染によって、新たに関節過可動性を発症したり、既存の関節過可動性が悪化したりし得ることを示唆する研究はある。 ほかにも、ヘルペスウイルス、エプスタイン・バー(EB)ウイルス、新型コロナウイルスなど多くのウイルスが、結合組織を構成しているコラーゲンを傷つけたり、体内で作られるコラーゲンの量を減少させたりするという事実もある。 米非営利団体「MEアクション」の科学ディレクターを務めるジェイミー・セルツァー氏は言う。「元々コラーゲンが少しばかり柔らかい人は、感染症関連の慢性疾患にかかりやすいかもしれません」
文=Rachel Fairbank/訳=荒井ハンナ