マザコン息子を「全寮制」に送り出すべきか? 母の葛藤と息子の反応【シングルマザーの中学受験 奮闘記|全寮制中高一貫校までの道のり】
子どもをどうやって、全寮制に行く気にさせるか? 思案の毎日
私の気持ちは固まりました。あとはどうやって息子を納得させ、その気にさせるかだけです。まず、今の息子の偏差値で入れる学校があるのかないのかを調べなければなりません。「そんな学校あるのかしら…」と半ばあきらめの境地で調査を開始しました。 すると、ありがたいことに、偏差値40くらいあれば、なんとか入学させてもらえる学校があることがわかり、胸を撫で下ろしました。正直「やったー!」と心の中でガッツポーズ。調べてみると、専願受験なら点数を加算してくれるとか、一次試験でダメだとしても2回目、3回目は下駄を履かせてくれる制度があることなどもわかりました。 そんなことから、「私の味方をしてくれる学校があるんだ」とうれしくなってきたのです。これまで2年間塾に通わせても成績が上がらないのだから、どんな手段を使ってでも、なんとかねじ込むしかないと思っていました。 それにしても、「全寮制に行きなさい!」なんて直球で言ったら抵抗されるに決まっています。そうなれば、元も子もなくなる。そこで、息子が自ら「行きたい!」と思うように策略を練ることにしました。まずは、全寮制の学校見学に連れ出すことに…。 ■息子を全寮制中学校の見学に誘い出す しかし、「学校見学に行こう」と誘っても、息子が素直に乗ってくるとは思えませんでした。そこで、「久しぶりに旅行でも行かない?」と持ちかけることに。 このところ、ガミガミと叱ることが多く親子関係はギクシャクしていたので、息子はにっこりと笑い何の疑いもなく二つ返事で乗ってきました。心の中でしめしめとニンマリする私。息子の取り柄は、子ども子どもした単純なところです。 2泊3日の旅行プランを立て、1泊目は息子の大好きな水族館で楽しい時間を過ごしました。息子は大はしゃぎで、「塾なんかより断然楽しいな!」とご満悦。夜はお腹いっぱいご飯を食べ、勉強をすることもなく、大きな口を開けて幸せそうに寝てしまいました。 2日目の朝、一緒に朝食をとりながら、「あのねぇ、近くにいい学校があるみたいよ。一緒に見に行こうか?」とさりげなく学校見学へ誘導。息子は素直についてきました。 息子には内緒で見学の申し込みをしていた全寮制中学校は、市街地からかなり離れた山間部にある自然豊かな場所でした。「広々として緑もあるし、開放感があるねぇ」と息子は言いながら、迎えに来てくれた先生や学生さんに案内してもらいました。 学校を見て回る息子は、意外にも積極的で自ら質問をしたりしていました。そうした態度は、これまでの学校見学では一切見られなかったもので、その変化に少々驚きました。 ■「この学校に入れよう」と決意した瞬間 2時間ほどゆっくりと見学をしながら、先生とお話しする中で、一番心配していることをお聞きしました。「うちの息子は偏差値40に届かないような成績なんですが、入学はできるんでしょうかね?」と恐る恐る聞いてみました。 すると、「大丈夫ですよ、お母さん。いろいろと方法はありますから」とにっこりしながら、支援制度について話してくれました。さらには「まぁ田舎の学校ですからね。そんなにカリカリと勉強しなくてもいいですよ。なんせ塾に行かないで入る子もいますから」と先生。それを聞いて、まるで救いの神のように思えてきました。 帰りの電車の中で、あんぐりと口を開けて居眠りしている息子の顔を見ながら、「あの学校に入れよう! 息子にピッタリだわ」と思いました。私も安心感からか、いつの間にかお互いにもたれかかるように居眠りをしていました。
今回の学びと葛藤《まとめ》
●働くシングルマザーの子育てリスクを回避するには、全寮制中学校はいい選択肢かも!? ● 全寮制への進学を検討するのなら、子どもが行きたくなるような工夫をすること
執筆/清宮ゆう子