全日本チャンピオン 決定! 水上バイクの最高峰レース『2024年度 AQUA BIKE「全日本選手権シリーズ」(国土交通大臣杯)』
「“2位でゴールすればいい”という条件で最終戦に臨めたこと」が勝因
レース後にインタビューしたところ、勝因は「“2位でゴールすればいい”という条件で最終戦に臨めたこと」だと語る。第5戦の琵琶湖大会で3位になった時点で、「今年はイケる」と確信したという。 誰よりも「結果」にこだわり、その機会を逃さない。「 平阪 勇助 」という レーサーの勝利への執念に、心から驚き、感動させられたのだ。
「GP RUNABOUT」クラスは、国内最強ランナバウトレーサーが面目躍如
砂盃 肇 選手が初めてプロランナバウトクラスで全日本チャンピオンを獲得したのが2003年。 それ以降2023年までに、2度の世界チャンピオンと、13回の全日本チャンピオンを獲得。国内のランナバウトクラスの「絶対王者」として畏怖される存在である。 今シーズンは、開幕戦から砂盃選手と奥 拳太選手によるトップ争いが繰り広げられた。 第3戦のアジアンチャンピオンシップを除いて、第5戦までに砂盃選手、奥選手ともに2勝ずつ挙げており、最終戦は「この大会で勝った方がチャンピオン」という、“分かりやすい”「実力勝負」の戦いとなった。
世代交代かと思われたシーズン前半
昨年はマシン開発が間に合わなかったが、今年は開幕戦から世界戦略艇「GA-CO」で戦う砂盃選手は、王者のプライドに懸けても負けるわけにはいかなかった。 しかし、4月の開幕戦から7月の第4戦まで、奥選手の方が強かった。 同じマリンメカニック製の「GA-CO」に乗り、直接対決で奥選手に負けるということは、本当の意味での「世代交代なのか?」と本紙は危惧していた。 「何より深刻だ」と感じたのは、砂盃選手が奥選手に対して、全く仕掛けられなかったことだ。砂盃選手は、負けるにしても必ず見せ場を作ってくれる選手である。 しかし、終盤になって「さすが砂盃」という走りへと変わってきた。9月に開催された「第5戦・琵琶湖大会」は、圧倒的なパフォーマンスを見せて完全勝利。 最終戦でも、その実力を遺憾なく発揮した。
600馬力超えのモンスターマシン。勝因は、「マシンと仲間たち」
シーズンの前半と後半で何が変わったのか聞くと、「アジアンチャンピオンシップで、中東のアルバス・ムハマンド選手との差を痛感させられた」ことにあるという。「今のままでは世界と戦えない」と感じ、マシンの強化に力を入れ始めた。 600馬力を超えるといわれるマシンのブーストを極限まで高め、壊れるリスクよりも「世界戦で戦えるマシン」を造ることにした。 結果、「フルブーストにしても壊れないマシン」とすることができたという。 「コンストラクターの今﨑(真幸)さんを始め、マシン開発に協力してくれた三上(定裕)選手や、常に完璧な整備を行ってくれた八巻さんのお陰です」と砂盃選手が語るように、マシンと選手の両方を高めることで、勝ちを呼び込んだのだ。 「絶対王者」として、他にライバルがいないなかで勝つシリーズ戦ではなく、今年は「奥 拳太」という強力なライバルに実力で勝って見せたことで、例年以上に「賞賛と尊敬」を勝ち取ったシーズンとなった。
若手とベテランがぶつかり合う水上バイクのレース
2024年シーズンは、平阪選手、砂盃選手という実力のあるベテランレーサーがチャンピオンとなった。 しかし、佐藤選手、奥選手といった20代の若手選手も着実に実力を付けている。来年以降のレースも非常に楽しみだ。
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