【定年後・60歳からの働き方③】40代、50代は今までの人生経験を武器に「学び直し」「資格取得」で自己実現。 若き日に置き去りにした「学ぶワクワク」を取り戻して60歳からの毎日を楽しむ準備を!
60歳以降の就職・転職に役立つ「資格」について紹介する連載。今回は、資格情報総合サイト「BrushUP学び」でマーケティングを担当する三宅弘一さんにお話を伺った。「60歳からの仕事に役立つものを何か学びたいけれど、学びたいものが見つからない」という40代、50代の女性が「学びたいこと」を見つけるには?
会社員や主婦の経験が生きる職業なら目指しやすい!
資格を取りたい人のための「学び」の情報を紹介するのが「資格情報サイト」。 そのひとつ「BrushUP学び」は、スタートから25周年を迎える資格情報サイトのパイオニア。年間ユーザー数は950万人。常時300の資格、2500の講座を掲載している。 「BrushUP学び」でデジタルマーケティングディレクターを務める三宅弘一さんは、ユーザーの分析を行うほか、資格取得を目指す人に会って直接話を聞く機会も多いそう。
三宅さんによれば、「60代以降も働きたい女性が増えてきている」という昨今。年齢を重ねていることがプラスになる職業を目指して、資格取得を考える人が多いとのことですが、「BrushUP学び」を訪れる40代、50代の女性に人気が高いのはどんな資格でしょうか? 三宅:OurAge世代が今後の働き方を考える場合、若い人たちと競い合わねばならないような職種だと、40代、50代で何かを学んで資格を取っても、なかなか就職が難しいかもしれません。 一方、これまでの「人生経験が強みになる仕事」であれば、40代、50代からでも資格をとって、仕事に生かすことができます。さらに、社会的な需要が高いといわれている職種であれば、資格取得後の仕事につながりやすいです。 例えば、今、40代、50代の女性に人気が高く、しかも、社会的需要も高まっている職業のひとつに「日本語教師」があります。 日本語が母語でない人に日本語を教える「日本語教師」という仕事は以前から存在していましたが、2024年4月に、「日本語教育機関認定法」が施行され、日本語教師の国家資格、「登録日本語教員」が創設されました。 これにより、「認定日本語教育機関」で日本語を教えるためには国家資格である登録日本語教員が必要になりました。 日本語教師の国家資格が創設された背景には、近年の在留外国人の増加に伴い、日本語教師の数、質を確保する必要性が高まっているという現状があると思います。登録日本語教員の資格をとるには、専門の養成機関で学ぶのが一般的です。 そして、なぜ日本語教師の仕事に「40代、50代の女性の人生経験が生きる」といわれるのかというと、言語を教えるということは文法や発音を教えるだけではなく、その言語の背景にある文化や習慣も教えることだからです。 日本の社会で円滑に暮らすためのマナーや身なり、日本のビジネス社会で求められる言葉遣いや対応などを教えることも大切です。そうなると、この年代の女性ならではの、長年職場で培ってきたビジネス経験や、ご近所付き合いや親戚付き合い、家庭での家族のサポートや子育ての経験が豊かであるということが、大きな強みになります。 また、非常勤講師として、1コマ単位で授業を受け持つといった働き方もあるので、60代以降も細く長く、やりがいを持って働けるという点も魅力のようです。 そして、近年もうひとつ、40代、50代の女性に人気が高く、需要の高い資格に「キャリアコンサルタント」があります。 これは、就職、転職、キャリア形成に関する専門的なアドバイスをする仕事の国家資格。 職場で多くの経験を重ね、自分自身も働き方に思い悩んだり、周囲の人のさまざまな生き方、働き方を見聞きしたりしてきたからこそできる、多様なアドバイスが大きな強みになります。 近年、政府は今後3年間で約33万人の転職を後押しすることを目標にしているとのこと。こうした事情から、キャリアコンサルタントの需要は右肩上がりになるといわれています。また、副業としてやフリーランスで活動しやすいという点でも人気です。 さらに、子育て経験が生かせる資格として人気なのが、「保育士」や「チャイルドマインダー」といった保育にかかわる資格です。 「保育士」は、児童福祉法で定められている国家資格のひとつ。保育士の資格というと、高校卒業後に大学や短大、専門学校で学んで取得するものというイメージがありますが、社会人であれば、年に2回実施されている保育士試験を受験して合格することで、資格を取得することもできます。通信制の大学で学んだり、養成講座を受講したりしたあと、受験するのが一般的です。 また、「チャイルドマインダー」は、英国発祥の家庭保育に関するスペシャリスト資格(民間資格)です。 個人で開業して自宅を保育場所として、家庭的な雰囲気の中で保育する「在宅保育」を行うほか、依頼者の家庭を訪問し、1対1の個別保育を行う「訪問保育」や企業内託児所などでも活躍するケースもあります。 保育士不足の今、これらの人材の需要は高いといわれています。 子どもにかかわる仕事には、自分自身の子育て経験を生かせるほか、「先輩お母さん」として、子どもを預ける母親たちからの共感・信頼を得ることができます。そういった意味でも、これまでの人生経験が生きる仕事といえるのではないでしょうか。