SHAZNA、ラクリマ、マリス、F◇C…番組から生まれた「ヴィジュアル系四天王」偏見の矢面に立たされた彼らの真の実力
(冬将軍:音楽ライター) 90年代から現在までの、さまざまなヴィジュアル系アーティストにスポットを当て、その魅力やそこに纏わるエピソードを紹介していくコラム。今回は90年代のヴィジュアル系バンドブームの象徴とも言える“ヴィジュアル系四天王”について。それぞれの音楽性を紐解きながら、彼らが生まれたテレビ番組『Break Out』がもたらした、バンドブームにおける功罪を考察する。(JBpress) 【画像】Gacktが加入していたバンド、MALICE MIZERのDVD ■ テレビ番組『Break Out』から生まれた“ヴィジュアル系四天王” 1990年代中期、ヴィジュアル系ブームを象徴する“ヴィジュアル系四天王”と呼ばれたバンドが居た。SHAZNA、La’cryma Christi、MALICE MIZER、FANATIC◇CRISISだ。 これはファンのコミュニティからそう呼ばれたものではなく、1996年10月にスタートしたテレビ番組『Break Out』(テレビ朝日系列)が作った言葉である。 番組で取り上げ、同じ1997年にメジャーデビューした4バンドをヴィジュアル系四天王と呼んだ。デビュー順に並べると、La’cryma Christi(5月8日)、MALICE MIZER(7月19日)、FANATIC◇CRISIS(8月6日)、SHAZNA(8月27日)となる。 『Break Out』は“ヴィジュアル系”をお茶の間に浸透させ、ブームに大きく貢献した音楽番組である。ヴィジュアル系四天王はこの番組から誕生し、ブームの立役者として大きな人気を得たが、反面でコアなロックファンからはイロモノ的に見られてしまうこともあった。 ヴィジュアル系という、見た目だけで判断されてしまうような言葉の普及により、「音楽に自信がないからメイクをしているのでは?」「見た目重視のバンド」などと揶揄されることも少なくはなかったのである。 そんなヴィジュアル系四天王について、個人的なおすすめアルバムを例にその音楽性を紹介していきたい。ただし、SHAZNA以外は2024年11月現在、音楽ストリーミングサービスなどの配信はされていないのでご注意を。