【独自取材】2歳の女の子が一人で国境越え…未成年の集団越境に遭遇 人身売買の温床か?トランプ新大統領の目玉公約「不法移民の大量強制送還」(前編)
壁の建設再開、ブイの設置…現地で進むトランプ新政権への準備
テキサス州のアボット知事は、トランプ政権の発足を見据え、現在のバイデン政権の方針を無視するかのような行動を開始している。2024年11月には国境の壁の建設を再開したほか、リオ・グランデ川には、不法入国者の渡河を防止するためのブイの増設を実施した。 また、メキシコから数百人から数千人にのぼる複数の移民希望者の集団が押し寄せているとされる中で、州兵や警察当局が参加する大規模移民対応演習も行った。大規模な強制送還に向けた施設を建設するための土地の貸し出しもトランプ氏側に提案している。 不法移民はアメリカの労働者の約4~5%を占めているとの推計もあり、特に建設業や物流、農業分野ではその割合が高いと言われている。この分野は、アメリカ国民が望まない職種ともされて、簡単に代替も効きそうになく、機械化での穴埋めも早急には困難と見られている。こうした状況を背景に、実際に強制送還が実施されれば、アメリカ経済に深刻な影響を及ぼすとの懸念も強まる。 トランプ氏が強制送還を撤回するとは到底思えないが、足下の経済が悪化すれば、「アメリカ第一」と国民の生活の改善を選挙中に訴えたトランプ氏としては苦しい立場に追い込まれる可能性もありそうだ。いわば不法入国者の管理と公約の実現の板挟みに陥る可能性がある。 様々な問題をはらんだアメリカの不法移民問題だが、後編では、実際に不法入国した人達を受け入れている団体や、反対派の声に焦点を当ててみたい。 (FNNワシントン支局 中西孝介)
中西孝介
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