【独自取材】2歳の女の子が一人で国境越え…未成年の集団越境に遭遇 人身売買の温床か?トランプ新大統領の目玉公約「不法移民の大量強制送還」(前編)
2歳の女の子が一人で国境越え…犯罪組織が関与か
不法入国者の多くは、日の出の前後にメキシコ側からリオ・グランデ川を渡り、アメリカ側に向かうという。私も午前4時すぎから車で国境沿いに向かい、川の水深が浅い地域を警戒していた。変化が起きたのは、午前7時頃からだ。次々に警察や州兵など、当局の車両が国境沿いに走り去っていく。 後を追おうとすると「侵入禁止だ」と言われ、国境の最前線までは行くことが叶わなかった。しかし、取材許可が下りたギリギリの場所で待っていると、当局の車に先導され、100人以上の集団が現れたのだ。 様々な人種の人達が、川を渡った影響か、足下を泥まみれにしながら整列させられている。一人一人パスポートなど身元を確認されている様子をうかがっていると、子ども達が非常に多いようにも感じられた。 当局はこの日、私が遭遇した集団が211人の不法入国者だったと発表した。さらにそのうち60人は、保護者がおらず、たった1人で国境を越えた未成年だったのだ。最年少は、エルサルバドル出身の2歳の女の子で、両親はアメリカにいることを話し、電話番号と名前が書かれた紙を持っていただけだった。この事件をアメリカメディアも衝撃を持って報じることとなった。 移民・関税執行局の発表によれば、2019年から2023年の間に、不法に入国した子どものうち少なくとも約3万人が、連絡が取れない状況になっているという。全てが犯罪に巻き込まれたとは言えず、単純に逃亡してしまった可能性もあるが、犯罪組織によって人身売買や誘拐、不法労働に従事しているとの声も挙がっている。今回、私たちが遭遇した未成年者の集団の背景にも、こうした人身売買などを生業にする犯罪組織の関与がある可能性があり、当局は捜査を行うと発表している。 トランプ新政権の発足によって国境政策が厳しくなる前に、こうした犯罪組織が駆け込みで子ども達をアメリカに入国させようとする動きを懸念する声も出ている。
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