虎”レジェンド”フィルダー”伝説のハマスタ場外弾”に重なる…なぜ佐藤輝明は衝撃の場外弾を放つことができたのか?
阪神の佐藤輝明(22)が9日、横浜スタジアムで行われた横浜DeNA戦に「6番・ライト」で先発出場し、6回に2番手の国吉佑樹(29)から右中間の場外へ超特大の3号ソロをかっ飛ばした。勢いづいた阪神は大量9点を奪い9-2で快勝した。球場を騒然とさせた怪物ルーキーの衝撃の一打はなぜ生まれたのか。
藤浪も「引きました」と驚愕
雨の舞う横浜の漆黒の空に白球が消えていった。右中間に設置された「東亜建設工業」の看板の「工」の字の上。入場者数9945人と発表されたスタジアムは、7、8割方ベイファンが占めていたため、ざわめきが起き、やがてレフトスタンドの阪神ファンの大拍手とあいまじって騒然としたムードに包まれた。 佐藤は、その瞬間、打球の行方を最後まで見届ける前に下を向き、あくまでも控えめにバットをそっと放り投げた。 阪神ベンチは喜びや驚きを通り越して唖然だ。 7回を粘り強く投げ今季初勝利を手にした藤浪が言う。 「ちょっと引きました。横浜スタジアムのあそこの場外弾を見たことがなかったので、ちょっと引いていました」 藤浪らしい表現。思わず“引く“ほどの衝撃だったということ。 他の選手は?と聞かれて「全員ドン引きです」と続けた。 平然とダイヤモンドを回り、ベンチ前では、カメラに向けて笑いながら、人差し指で何やらアクション。1日の広島戦以来7試合ぶり、24打席ぶりの第3号。この試合まで打率.163と低迷し、三振ばかりを量産していたが、焦りやプレッシャーなど微塵も感じさせない。この底抜けの明るさが怪物ルーキーの大物ぶりを証明している。 やられた横浜DeNAの三浦監督は、「飛距離がどう、バッターとしてどうより、印象的には痛い1点だった」と佐藤の衝撃の一打を振り返った。逆転を狙っていた横浜DeNAからすれば0-3が0-4になる1点は響いた。そして、この一発が火付け役となって、この回に長短5安打を浴びせられて一気に6点のビッグイニング。勝負が決まった。 なぜ佐藤は目覚めることができたのか。 伏線は第1打席にある。 立ち上がりに2点を失った開幕投手の濱口は、さらに二死一塁で佐藤を打席に迎えて初球にインサイドへ143キロのストレートを投じた。佐藤はフルスイング。つまりながらもライト前ヒットにして一、三塁とし、山本の押し出し四球につないだ。