前記録保持者の元近鉄監督が語る阪神ドラ1佐藤輝明の実力「王さん、イチロー級…今年は25~30本。3年目に3冠王を狙える」
阪神ドラフト1位の大型ルーキー佐藤輝明(22)が球界に衝撃を与えている。17日の西武戦では3試合連続となるオープン戦6号を放ち、元近鉄監督、佐々木恭介氏(71、現・大和高田クラブ監督)が1972年に作った新人のオープン戦最多本塁打記録を49年ぶりに塗り替えた。その佐々木氏に佐藤の持つ可能性について聞いた。過去に中村紀洋氏や福留孝介らのスラッガーを育てた“名伯楽”が語った、その驚愕の内容とは?
「内角が打てる清原和博氏のイメージ」
佐々木氏はテレビのニュースで記録更新を知ったという。 「並んだと思ったらすぐ更新。たいしたもんやね。オープン戦の記録だし、僕自身、そんな記録は、まったく忘れていたんだけど、何社かの新聞社から電話が入って思い出したよ」 クラブチームの大和高田クラブを率いる佐々木氏は、スカウト活動も含めて関西の大学野球を視察に訪れる機会が少なくなく、近大時代から佐藤に注目していた。時間が許せば、阪神のキャンプ中継やオープン戦もテレビで見ていたが打撃スタイルの進化に気がついた。 「大学のときは、右の腰が開くのが早いなと気になっていた。あれじゃふところ(内角)を攻められたら外の変化に届かないなと。でも今は開かなくなって綺麗にバットが出だしている。頭がええね。対応能力が高いんやろね。怪物になるよ」 阪神の打撃コーチとして、新庄剛志氏や亀山努氏らを育て、近鉄監督時代には、中村紀洋氏、中日打撃コーチとしては、福留孝介を育成するなど、その打撃指導能力に定評がある佐々木氏は、佐藤の“凄さ”をこう分析する。 「普通は逆方向への打球を意識してバットを内側から出して打とうとすると、こすり気味になり、バットのヘッドが落ちる。99%の選手がそうなるので僕は逆方向に向かって引っ張れと教えているんだけど、佐藤は、逆方向の左中間に向かって引っ張っているよね。だから打球が上がる角度でバットがボールに入る」 6本中4本が逆方向のアーチだ。 ただリーチが長く、アッパー打法のため、内角が弱点では?という声もあったが、16日のヤクルト戦では全球内角攻めをを仕掛けられた末、左腕の寺島の内角直球をライトスタンドの上段にまで運んだ。 「言うなれば、左右の違いはあるが、清原和博がインコースを打てる打者にしたようなイメージだね。ヤクルト戦では内角のボールをホームランにした。インサイドのボールをさばく際にリーチの長い打者は右ヒジを抜いて打つ場合が多い。右の脇を開いてね。そうなると芯には当たるが打球は強くならない。だが、佐藤はヒジの使い方が柔らかいから体の中で折りたたんだままバットを振れる。右ヒジを開かない。これは教えてもできない天性のもの。清原は内角球に苦労したが、このヒジの使い方がなかったからなんだ」 佐藤の特長のひとつは右ヒジの使い方にあるという。