共産党・志位委員長が会見4月18日(全文1)北朝鮮問題、6カ国の政府に要請文
要請文:第1の提起 朝鮮半島の非核化、北東アジア地域の平和体勢構築を一体的、包括的に進める
私たちが、今、お渡ししている要請文を作ったのは、この歴史的チャンスをぜひ生かしてほしいという思いからです。要請文は6カ国の政府に同じ内容で要請しています。要請文の作成に当たっては、各国政府の公式の言明、これまでの国際合意などを踏まえ、米国や北朝鮮を含めて、6カ国の全てにとって受け入れ可能な内容になるよう心掛けました。今後、対話と交渉を進めるに当たって特に重視してほしい2つの点を提起しています。 第1は、朝鮮半島の非核化と、北東アジア地域の平和体勢の構築を一体的、包括的に進めるということです。北朝鮮の核武装はもとより、絶対に容認できません。朝鮮半島の非核化は、対話と交渉の最大の目標とすべきであることは言うまでもありません。問題はそれをどうやったら実現できるかにあります。要請文には次のように書きました。非核化を進めるためには、朝鮮戦争の終結をはじめとする、戦争と敵対に終止符を打ち、地域の平和体勢を構築し、北朝鮮を含む関係国の安全保障上の懸念を解決することが不可欠です。 米朝間では朝鮮戦争が国際法上、いまだに継続しています。休戦協定を結んでいるだけで、戦争はなお終結していません。トランプ氏が言及したとおりです。その下で北朝鮮は、核兵器がないと米国から攻撃されるといって、核ミサイルの開発に突き進んできました。繰り返しますが、私たちはどんな理由であれ、核兵器開発には絶対に反対です。同時に、実際に非核化を進めようと思ったら、戦争状態に終止符を打ち、北朝鮮に核兵器がなくても安全だと感じさせるような環境をつくることが必要です。具体的には南北、米朝、日朝の緊張緩和、関係改善、正常化を進める。非核化と平和体制構築を一体的、同時並行で進めてこそ、その両方を見直しすることができます。 非核化のためには北朝鮮が膝を屈するまで圧力を掛け続けるべきだという議論があります。しかし軍事を含む圧力一辺倒で対応すれば、北朝鮮はますます強く核兵器を握りしめてしまうことになるでしょう。それは一触即発の危険な事態をつくり出します。非核化を強く求めながら、それと一体に、地域の平和体制をつくる、そのことによって、北朝鮮を含む関係国の安全保障上の懸念を解決する、そうしてこそ、解決の道が開かれるというのが私たちの考えです。 ウィリアム・ペリー米国防長官が11日の東京都内での講演で、過去の成功と失敗からどんな教訓が得られるかとして、次のように語っています。私が学んだ教訓で最も大事なのは、なぜ北朝鮮が核開発をするのかを理解することだ。われわれが抑止力と呼ぶように、北朝鮮も自らの安全の保障を得ようとしている。北朝鮮にとって経済は重要で、改善させたいと思っているが、そのために彼らは安全保障を失う交渉はしない。私は北朝鮮問題の対応の最前線を担ったペリー氏が引き出したこの歴史的教訓に、真剣に耳を傾けることが大事だと思います。 非核化と平和体制構築を一体的、包括的に進めるということは、2005年9月19日の6カ国協議に関する共同声明で、いったんは各国が合意していることです。6項目からなる共同声明では、第1項で朝鮮半島の非核化を。第2項で米朝、日朝の国交正常化を含む地域の平和体制の構築を規定しています。私はこの文章は依然として、北朝鮮問題の解決に向けた最良の外交文書だと考えています。この共同声明に立ち返って解決を図ってほしいと要請しました。 日本人拉致問題についても解決に向けたチャンスが生まれています。要請文には次のように書きました。この問題を05年の共同声明、02年の日朝平壌宣言に基づいて核ミサイル、拉致、過去の清算、国交正常化などの諸懸案を解決する包括な取り組みの中に位置付け、解決を図ることを求めます。拉致問題を今、起こっている朝鮮半島の非核化と地域の平和体制の構築を、対話と交渉によって進めようという流れの中に、包括的に解決すべき諸懸案の1つとして位置付ける、これが解決の道だと考えます。