東大学食「食堂コマニ」になぜ人が集まる? あえて高級食材を使うワケとは
取材時出会ったフランス人研究者は、「よくこの食堂を訪れます。日本の食材を使ったおいしい料理を食べると元気がでます。体も心もリフレッシュされます」と語った。日本人はもちろんのこと、外国人にも"日本のお母さんの味"はしっかり伝わっているようだ。 ■人と人が"つながる"仕掛け 食堂コマニがある東大の生研は、100を超える研究室を擁しており、国内外から1,000人を超える研究者たちが集まる。だが、相互にコミュニケーションをとる機会は決して多くはなかったという。そこで食堂コマニは、コミュニケーションを促す仕掛けを施した。
ポイント1つ目は"空間"。設計は、東京大学生産技術研究所准教授であり建築家の川添善行氏が担当した。24名席の大きなセンターテーブルや座敷席、研究内容を一覧できるIISライブラリーなど、コミュニケーションが自然的に発生するよう造られた。
2つ目は多種多様なイベント。お昼休みには不定期で生研の教員が約10分で研究内容を伝える無料イベント「はし休めプチトーク」を開催しており、日本を支える研究のイマを手軽に知ることができる。 「難しい研究もわかりやすく説明してくれるので面白いと思います。一般の人も聞けるイベントなのですが、毎回100人ぐらいは集まっていますね」 さらに研究室とタッグを組んで、"とある実験"も行ったという。 「毛細血管を整えて丈夫にしてくれるというエビデンスがとれた食材を使ったメニューを提供。それを食べて実際に(毛細血管が)キレイになるかどうかを調べる実験もしました。スコープで毛細血管の様子を実際に見てもらうんです」と、楽しげに実験の様子を話す玉田氏。 生研ならではの興味深い取り組みに、聞いているこちらまでワクワクしてしまう。
そのほか、食堂コマニ独自で、今年1月に発生した能登半島地震の復興支援で独自のチャリティイベントをを3月に開催。学内外から人を呼んで、石川の日本酒を中心としたドリンクや料理を振る舞った。今後も地方とのコラボレーション企画は定期的に開催していくとし、学内外問わずつながりを生み、交流を育んでいる。 ■食堂を支える「コマニーズ」 ここで働くスタッフは「コマニーズ」と呼ばれ、理念に共感した人が採用されている。実は、コマニーズの多くが飲食未経験。主婦やグラフィックデザイナー、フードスタイリスト、PRプロデューサーなど、それぞれが異なるバックグラウンドを持っている。