東大学食「食堂コマニ」になぜ人が集まる? あえて高級食材を使うワケとは
聞けば調味料は無添加、野菜はすべてオーガニック、材料はいずれも生産者の顔が見えるものを使用。さらに無料のお水は温泉水、お茶は伊勢のほうじ茶を提供する徹底ぶりだ。
ここまでして高級食材を使う理由として、「日本の食文化をここから正しく伝えていきたい。日本の未来を支える若い人たちに日本の食の素晴らしさをわかってもらいたいんです」と口にし、玉田氏は次のように続けた。 「例えば、お米は有機栽培の"天日干し"されたものを使っています。お米は一般的にはボイラーで24時間乾燥させますが、天日干しは外で20日間以上干すという非常に手間のかかる作業なのです。けれど、それによって旨みたっぷりのお米のおいしさが感じられるんです」 素材本来の旨みを引き立てるため、調理法はあえてシンプルに。また、食品の鮮度を保つ急速冷凍機や、油の吸収を抑えながらカラっと揚げるフライヤーなど、厨房設備に先端技術を取り入れ素材のおいしさを最大限引き出している。 そのほか、食材や調味料の名前、生産者、作り方が記されたリーフレットを各テーブルに置く取り組みなど、"食材の原点"と一緒においしさを届けるのがこだわりだ。 ■"母の味"を目指した学食 そんな厳選食材で作るのは、フレンチ料理でも懐石料理でもなく、『母の味』。まるで母親が子どものために作るような、おいしくて健康を気遣った料理を提供している。 「お母さんが愛情たっぷりに作ってくれたようなごはんで、しょんぼりしてた人が元気になる、そんな学食にしたかったんです」と玉田氏は胸の内を語る。
学食メニューは、名物料理のおむすび(250円~)をはじめ、定食などが用意されている。筆者も「無添加さば定食」(1,000円)を食べたが、素材の味を活かした素朴な味わいに体も心もほっこり。
個人的なお気に入りは、定食に+250円で変更できる豚汁だ。にんじんやじゃがいも、豚肉など大きな具がたっぷり入った一品は、野菜の旨みと味噌のやさしい甘さをダイレクトに楽しめる。 日頃ファストフードばかり食べる筆者にとって、日々の不摂生を帳消しにしてくれそうなスーパーフードだった。