杉本彩「動物愛護管理法」が改正されたが、無免許で麻酔なし帝王切開の被告に「懲役1年、執行猶予3年、罰金10万円」は軽すぎる
俳優・杉本彩さんが、“人と動物が共に幸せに暮らせる社会”を目指し、動物環境・福祉協会Evaとして活動を始めて、今年で10年を迎えます。これまでの歩み、達成できたこと、そしてこれからの課題について伺いました。(構成◎岡宗真由子) 【写真】裁判所前、厳しい表情の杉本さん * * * * * * * ◆記憶に残る最初の“保護活動” 物心ついた頃から猫と犬が、私のそばにいます。京都で暮らした子ども時代には、捨てられた猫を拾っては親に頼み込んでうちに迎えました。18歳で芸能界の仕事を始めることになり、20歳の頃一人で上京しました。 24歳の時に、ドラマの撮影所で見つけた病気の仔猫を病院に運んで、看病をしてから里親を探したというのが記憶に残る最初の“保護活動”です。 それからいつの間にか私が猫を保護しているということが近隣に広まるようになり、取り壊されるお風呂屋さんに仔猫が取り残されていると夜中に「保健所が来る前に連絡しました!」という電話が入って懐中電灯持って駆けつけたり…。 そうしたこともあり、保護した猫の医療費やご飯代を捻出するため、私の持っている服や雑貨、また協力してくださる方の寄贈品でチャリティセールを行うようになりました。そのうちさまざまな動物問題を知るようになり、署名活動もしました。そんな中で個人での活動に限界を感じ始め、2014年に法人格を取得しました。その後、それまでの活動が長く、信頼を得ていたことが幸いして審査の厳しい“公益法人”の認定をそのわずか1年後にいただくことができました。 現在、最初の保護活動から数えたら約30年、Evaの代表として活動を始めてからは10年が経過しました。それからは悪質な虐待者を刑事告発したり、法律を変える訴えをしたり、動物の命の価値が、社会に反映されるため日々活動し続けています。少しずつ賛同してくれる人も増えてきました。
◆痛ましい事件は後を断たない ――しかし杉本さんが動物の福祉向上のため奮闘することを他所に、痛ましい事件は後を断つことがありませんでした。2017年には元税理士の男性による猟奇的な虐待事件が発生します。 虐待目的で猫を捕獲機で捕獲して、下からバーナーで炙って大やけどを負わせたあと、ぐらぐらに煮立った熱湯を上から何度も浴びせ、それをインターネット上の匿名掲示板に投稿、さらに第三者が煽りたてるという世間を震撼させた事件で、当時の報道でも大きく取り上げられました。 当時の「動物愛護管理法」では犬や猫などの「殺傷罪」は2年以下の懲役又は200万円以下の罰金と定められていました。判決後、当時の動愛法の法定刑では実刑の壁が厚いことを再認識し動愛法44条の罰則強化を求める署名活動を行い、最終的に約24万5千筆が集められました。 この残酷な所業に対して、世論が怒り、その後の厳罰化の気運が高まったという流れがあります。多くの国民の民意を伝えるために、法改正のタイミングに徹底的にロビー活動を行いました。そして2019年に「動物愛護管理法」が改正されました。 殺傷罪の罰則が、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金だったところ、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金へ。そして今まで虐待や遺棄をした場合に100万円以下の罰金だけでしたが、1年以下とはいえ「懲役刑」が追加されました。「厳罰化」について、粘り強く勝ち取った意味のある一歩かなと自負しています。
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