RIZINで判定負けした梅野の強烈ジャッジ批判と“忖度疑惑”が波紋…皇治は「しらんがな」と激怒し榊原CEOは疑惑を完全否定
判定にはガイドラインはあるが、最終的にはジャッジの好き嫌いが出る。特に手数か効果打かの判断に評価が分かれる。では、この日の試合は、梅野がフルマークの圧勝だったか?と聞かれれば、決してそうではない。 スリップと判断されたダウンシーンも、押し倒したようなものではなく、梅野は「軽い」と言っていたが、ガードの上からも衝撃を与えたように見えた。これらを差し引いても大接戦であったことは確かで、2-0のジャッジスコアは疑念の判定と呼ぶようなものではなかった。 榊原CEOも「酷な話だとは思うし、ジャッジに文句は言いたいと思うが、ジャッジに文句を言うなら3分3ラウンドがあるんだから、完全決着をつけるべき、やるか、やられるかの試合をすべき」と一刀両断。 特に皇治がスポンサーを集め、チケットを売ったことへの“忖度疑惑“については、真っ向否定した。 「プロモーターとしての忖度は絶対に働かせないということはルールミーティングで選手にも言っている。そこに僕らの意図とか意向は入らない。スポンサーさんなどに忖度していたら(大会は)続かない」 過去にはRIZINとしては王者にしたかった朝倉未来がフェザー級の王座決定戦で判定で斎藤裕に敗れた例がある。微妙な判定で、その先を見据えてプロモーター側の“忖度”が働くならば、朝倉を勝ちにしてもおかしくない内容だったが、フェアな判定が下された。 RIZINでは判定へ異議を申し立てることのできる規約があり、榊原CEOは、「クレームがあればレフェリーやジャッジ陣に出していただければ。納得するまで競技運営側と梅野選手側とで確認し合ってほしい」と受け入れる考えがあることを明かした。 梅野自身は「(異議申したてには)メリットとデメリットがある。覆る可能性が極めて低くて異議を申し立てた時に来るデメリットのほうがでかければやらない」と、今後の活動に支障が出ることを危惧して、アクションを起こすことには消極的で検討中だとしたが、榊原CEOは「そういう妄想はしないでほしい」と語り「モヤモヤを残さないでほしい」と異議申し立てを行うように呼び掛けた。 判定を巡るとんだゴタゴタに巻き込まれた皇治だが、リング上ではサプライズプランをぶちあげた。天心ー武尊のメガファイトのアンダーカードで60キロのワンデイ・トーナメントの開催を主催者に呼びかけたのだ。しかも参加者として、「オレにケンカを売ってきた奴ら」としてK-1のレオナ・ペタス、芦澤竜誠、RISEの中村寛、YA-MANの4人の名前を挙げた。YA―MANは皇治が敗れた相手だ。再戦には乗り気でなかった梅野も、このトーナメントには興味を抱き「60キロに落とせるし問題はない。1回戦でやりたいな」と早くも立候補。 だが、皇治は、「またオレと?もうええって(笑)梅野はタイプとちゃうわ。悪いけどリザーブファイトでもやったらええんとちゃうかな」と門前払いした。 ただ、このトーナメントプランの発表は、なんの根回しもないゲリラ的発言。榊原CEOは、むしろ当惑しており「(こういう提案が)きっかけで転がる話もあったりするが、無理だろうなと思っている。RIZINの主催でやる大会ではないので私の一存では決められない。関係者の御意向を聞いた上で、としか発言できない」と、やや否定的だった。 皇治は、5月に開催される格闘イベント 「HEAT」に出る予定だと言うが、年内でキックは卒業し、大晦日デビューを目指して、彼自身が、「トライアスロン」と表現している総合格闘技への転向に舵を切るという。 「負けたら引退のつもりだった」とも告白した皇治。やっとのことでつかんだRIZIN2勝目に文句をつけられ、毎度、毎度の”お騒がせ男”の面目躍如を果たしたのも、彼の言うところの「スーパースター」の証なのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)