なぜRIZINバンタム級GP”大本命の”朝倉海がベテラン扇久保に敗れる波乱が起きたのか…右拳骨折アクシデントと公開プロポーズ
総合格闘技イベント「RIZIN.33」が31日 、さいたまスーパーアリーナで開催され、RIZINバンタム級トーナメントでは、大本命の朝倉海(28・トライフォース赤坂)が決勝で、ダークホース的な存在だった扇久保博正(34・パラエストラ松戸)に判定で敗れ優勝を逃す波乱があった。昨年の大晦日もRIZINバンタム級タイトルマッチで堀口恭司(31・ATT)にTKO負けした朝倉は、これで大晦日3連敗。試合後の記者会見では壮絶な打撃戦となった瀧澤謙太(27・フリー)との準決勝で右拳を骨折し患部に痛み止めの注射を打って決勝を戦っていたことを明かした。また優勝した扇久保が恋人の京香さんにリング上から公開プロポーズする劇的なサプライズもあった。
勝者と敗者とが非情なコントラストで分け隔てられた。ダークホース的な存在から井上、そして海と優勝候補を連破。16人が参加し、昨年6月から行われてきたバンタム級トーナメントを制した余韻が残るリング上で、大晦日の準決勝に残った4人のなかでは最年長となる扇久保が感無量の表情を浮かべた。 「何回も何回も格闘技を辞めようと思って、落ち込んだときもありましたけど、続けてやってきて本当によかったと思っています」 万雷の拍手が降り注ぐなかで、34歳の苦労人は「ひと言だけ言いたいんですけど」と照れくさそうに断りを入れた上で、スタンドの一角を占める応援団を見つめた。 「ここまでずっと僕を支えてきてくれた彼女の京香さん、本当にありがとう。もしよかったら僕と結婚してください。必ず幸せにします」 予期せぬ展開に、拍手のボルテージがさらにはね上がる。扇久保の勝利ですでに涙腺を決壊させていた京香さんは、満面の笑みを浮かべながら両手の親指を立てて公開プロポーズに応え、扇久保に招かれて上がったリングで熱いキスを交わした。 二重の意味で幸せな空間が生まれたリング上とは対照的に、3年続けて大晦日のメインカードで敗れた海は、試合後の記者会見で衝撃的な事実を明かした。 壮絶な打撃戦だった瀧澤との準決勝と比べて、手数そのものが多くなかったように見えたが――判定の末に0-3で敗れた決勝の試合内容を問われた直後だった。 「試合に負けた言い訳になるのが嫌なので、あまり言いたくなかったんですけど」 精いっぱいのプライドを込めながら、こんな言葉を海は紡いでいる。 「瀧澤選手との試合で右手をちょっと骨折しちゃいました。そのせいで負けたわけじゃないし、ただ単に扇久保選手が強かった。完全に自分の実力不足だと思っています」