「トヨタができることはなんでもやる」。ハースF1との提携を推し進めたTGR加地モータースポーツ部長を直撃!
■小松さんとすぐに意気投合した ――ハース以外の選択肢も考えましたか? 加地 可能性という点ではいろいろと考えました。最初から一点に絞ってということはしていません。いろいろと検討はしていましたが、小松さんと会って話をしていくうちにお互いすごく共鳴しました。 僕と小松さんだけでなく、小松さんと会長も今年の6月のカナダGPの前に東京で会ったのですが、すぐに意気投合しました。どうやって日本の若い人たちに夢を与えていくのかなど、モータースポーツに対する考え方や思いが一致したんですね。そういうところが今回の提携がうまくいった一番の要因だったと思います。 ――エンジニア出身の小松さんは「加地さんとはすごく歯車が噛み合った」と話されていました。 加地 僕も同じように感じていました。小松さんはエンジニアリングにピュアというか、真っすぐな方です。技術は嘘をつきませんので、テストをすれば答えが出て、その結果をもとにして次のステップに進むことができます。そういうスタンスで、クルマとチームを良くするために何がベストかというのを常に考えて行動しています。僕もエンジニア出身で、同じような考え方やアプローチをしますから、共感することが多かった。それに同じ1976年生まれということもあって、話しやすかったこともありますね(笑)。 ただ、今回の提携はTGRがF1に参画するという表現は語弊があって、あくまでTGRがF1を目指すドライバー、エンジニア、メカニックたちをサポートするというのが正しいです。それは繰り返しになりますが、モリゾウさんの思いが出発点になっています。 ――加地さんにとってモリゾウさんはどんな存在ですか? 加地 ひとことで言うと、お父さんみたいな方です(笑)。社内では別格の存在ですが、車とモータースポーツが大好きなで、あったかい人です。僕たち現場の人間のいろいろな悩みを聞いてくれたり、細やかに配慮をしてくださったりします。みんなの顔色を見て、「元気か?」とか「お前、ちょっと髪が伸びているから切れよ」とか、気さくに声をかけてきてくれます。人間味があって、僕は大好きですね。そういう人から「これをやろうぜ」と言われたら、その夢を実現できるように全力を尽くすしかありません。