”フェアな”チャンピオン争いを求めるノリス……メキシコでのフェルスタッペンへの20秒ペナルティは「当然の報い」
マクラーレンのランド・ノリスは、F1メキシコシティGPの決勝レースで、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが、10秒加算ペナルティを合計2回受けたことについて、当然のことだと考えている。 【リザルト】F1第20戦メキシコシティGP:決勝 事件はまたしても、2024年のドライバーズタイトルを争うフェルスタッペンとノリスの間で起きた。 1週間前のアメリカGPでは、ノリスがフェルスタッペンとのバトル中に、コース外走行でアドバンテージを得たとして5秒のタイム加算ペナルティを受け、結局フェルスタッペン3位、ノリス4位という順位で決着した。ただこのペナルティについてはその後論争の的となり続けており、今後も様々な議論が行なわれていくことになりそうだ。 そしてメキシコシティGPでもこのふたりがコース上で対峙。ただ、アメリカでの一件により、オーバーテイク時の優先権についてガイドラインが明確になった。コーナーのエイペックスでフロントアクスルが先が優先ということが、明言されたのだ。 ペースが上がらないフェルスタッペンに仕掛けたノリスはこのガイドラインに従い、ターン4でオーバーテイクする際にフロントアクスルをフェルスタッペンのそれよりも前に出した。そのため、フェルスタッペンとしてはノリスにスペースを与える必要があった。しかしフェルスタッペンはコーナー立ち上がりで白線ギリギリまでワイドに膨らむように走り、アウト側にいたノリスをコース外に押し出すような格好となった。 ノリスは続くターン5をショートカットするような格好で芝生の上を走り、コースに復帰。先頭のカルロス・サインツJr.(フェラーリ)の前に出てしまったため、これは先行させたものの、フェルスタッペンの前を抑えた。 フェルスタッペンはその後も果敢にノリスを攻め、ターン8ではイン側から勢いよく突進。2台は揃ってコース外を走ることになった。 スチュワードによる審議の結果、フェルスタッペンには、ターン4のインシデントはドライバーをコースから追い出したとして、ターン8のインシデントはコース外を走ってアドバンテージを得たとして、それぞれ10秒……合計20秒のタイム加算ペナルティが科された。 「多くを語る必要はないと思う」 そうノリスはレース後に語った。 「何が起きたのかは、説明の必要もないと思うんだよね」 「ルールやガイドラインなど、言われたことを全てやったつもりだ。でも状況はその通りにはならず、彼がペナルティを受けることになった」 簡単ではないものの、ノリスにはまだフェルスタッペンを逆転して今季のドライバーズタイトルを獲得できる可能性がある。逆転のために「どこまでやるか?」との問いに、ノリスは次のように語った。 「僕はマックスとの厳しい戦いを覚悟している。そのつもりで、全てのレースに臨むよ」 「彼が勝つか、それとも2位になるかは関係ない。とにかく僕の唯一の仕事は、レースに勝つことだ。そして彼は、チャンピオンを獲るために、今日(メキシコシティGPの決勝)のように自分を犠牲にすることになるだろう」 「でも僕は彼と良い戦いをしたいと思っている。彼がこれまでやってきたような、厳しく、そしてフェアな戦いをしたいんだ」 「でもそれはいつもギリギリの戦いになる。マックスにとっても、常に厳しい戦いになるだろう。彼は、誰も楽には勝たせてくれないよ。特にこういう時期ではね。でも、今日のレースは……フェアでクリーンなレースではなかった。だから、彼は当然の報いを受けたんだと思うよ」 カタールGPの前には、FIA、FIAのシングルシーター委員会、グランプリ・ドライバーズ・アソシエイション(GPDA)の間で、コース上でバトルをする際のガイドラインを変更する可能性について協議が行なわれる予定だ。その後カタールGPの際にドライバーも交えて協議が行なわれ、カタールと最終戦アブダビで、改訂されたガイドラインが施行される可能性がある。
Sam Hall