【 静岡 50代夫婦 SUP“溺死”事故】死亡の理由は、『近づくなと言われた“場所”「 貯砂ダム(ちょさダム)」に 行ったコト!』 水の“高低差”が 原因か? 2人とも 大会に出場している 経験者。【接岨湖(せっそこ)】
「SUPの聖地」と呼ばれる 接岨湖で起こった痛ましい事故。普段から「貯砂ダムには 近づかないように」と、指導および注意喚起が行われていた
10月13日(日)午前11時15分ごろ、静岡県川根本町の接岨湖(せっそこ)で、SUPをしていた50代の夫婦が死亡する事故が起こった。 接岨湖は、長島ダムの「ダム湖」である。 事故現場となったのは、SUPを開始した場所から4~5kmほど上流に行ったところにある、土砂の流入を防ぐ「貯砂(ちょさ)ダム」付近だという。 死亡したのは、愛知県知立市に住む「57歳の男性」と「58歳の妻」。夫婦2人と知人1人の3人で遊びに来ていて、朝からSUPを楽しんでいたという。 SUPに乗っていた57歳の男性がバランスを崩して落水したため、妻が助けようとしたが、そのまま2人とも溺れてしまったとみられている。 亡くなった夫婦は、 2人ともSUPの大会に出場している「経験者」であった。
「接岨湖」の面積は2.33平方kmで、東京ドーム50個分に相当する。ボートやカヌー競技などの会場としてもよく利用されており、最近では「SUPの聖地」とも呼ばれている。 この場所を管轄とする国土交通省 長島ダムに確認したところ、休日に接岨湖でSUPをする場合、「長島ダム管理所」でカギを借りてから入場することになる。 普段から、「“貯砂ダム”には 近づかないように」と指導しており、事故のあった当日も、カギの貸し出しを行う職員が「“貯砂ダム”には 近づかないように」と、利用者に伝えていた。
事故の遭った “貯砂ダム”とは、どういったダムなのか
貯砂ダムの正式名称は「長島貯砂ダム」といい、川の上流からの 土石流の侵入を防ぐために作られた「砂防ダム」である。 大井川流域は山地の崩壊が激しく、土砂流出が多いため、治水機能に影響を及ぼす危険もある。堆砂対策のために造られたのが「長島貯砂ダム」なのだ。 上の「“貯砂ダム”(ちょさダム)」写真のように、ダムを挟んで上流と下流では 水位の高低差があるため、下流側では 水の流れが“速く”なることが見て取れる。
事故の原因は、「貯砂ダム」付近の水の速さが問題なのか?
本誌は当初、「溺れたのはライフジャケットに問題があったのではないか?」と考えていた。 しかし、この事故を目撃した人から「うつぶせに“浮かんでいた人”と、流れの中で“浮き沈みする人”を見た」という情報も寄せられている。 記事のコメントでも、「“貯砂ダム”の直下に 人を 引きずりこみ、循環し続ける流れができていて、ライフジャケットを着用していても 浮かびあがれなかった可能性が高い」と書かれているものが多くあった。 今回、貯砂ダムによって水流が速くなった水の流れに2人が巻き込まれて溺死したのかもしれない。 そうなると、貯砂ダムの水の流れが原因と考えるのが自然であろう。 ダムは、季節によって水量が変わる。この貯砂ダムは、貯水量によっては放水路を通過して、さらに上流へ行けることもあるということだが、「危険なので貯砂ダムには近寄らないように」と、普段から指導されている。 そして、利用者はそれを守っており、今まで事故は起きていない。 この夫妻が貯砂ダムに近づいた理由は分からないので、原因は推測することしかできない。 もしその理由が「好奇心」だとしたら、やりきれない思いでいっぱいだ。 心からご冥福をお祈りしたい。
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