EUROでスペインとイタリアが4強進出を決めた理由とは?
スター・オブ・ザ・マッチに輝いたインシーニェが言葉を弾ませれば、ベルギーにペースを握られた序盤にけがを押して出場したFWケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)、そしてルカクの決定的なシュートを阻止し、流れを引き寄せた22歳の若き守護神、ジャンルイジ・ドンナルンマ(ACミラン)も笑顔で続いた。 「イタリアの人々に喜びを与えるために、僕たちはこの場所にいる」 ロシアワールドカップ出場をかけたヨーロッパ予選では、スペインとグループGの首位を争ったなかで、アウェイで喫した0-3の完敗が大きく響いて2位で通過。プレーオフではスウェーデン代表に、2戦合計で0-1のスコアで敗れ去った。 実に60年ぶりに味わわされたヨーロッパ予選での敗退。ワールドカップ本大会の連続出場が「14」で途切れたアズーリからはGKジャンルイジ・ブッフォン、MFダニエレ・デ・ロッシらのレジェンドが引退し、ラツィオやインテル、マンチェスター・シティなどで指揮官を歴任したマンチーニ監督のもとで再出発を期した。 目指したのは「カテナチオ」と呼ばれる伝統の堅守に、攻撃的なスタイルを融合させたチーム。高い位置でボールを奪った先制点が新しいアズーリならば、左サイドを完全に崩された後半16分の大ピンチで、あわや同点だったルカクのシュートをブロックしたDFレオナルド・スピナッツォーラ(ローマ)は古きよきアズーリとなる。 「もっと得点できた試合だった。勝利できたのは当然のことだと思っている」 FIFAランキング1位の「赤い悪魔」が目指していた、ユーロ初制覇への野望を打ち砕いた勝利を、マンチーニ監督は自信満々に必然の結果だと位置づけた。そして運命に導かれたように、準決勝では因縁のスペインと顔を合わせる。指揮官が続ける。 「私のチームの選手たちは並外れている。頂点に立つためにあと2試合、このまま進んでいきたいが、今夜だけは自分たちのパフォーマンスと勝利に浸りたい」 ワールドカップを連覇した1930年代に達成した「30」の連続無敗試合を、延長戦の末に2-1でオーストリア代表を破った決勝トーナメント1回戦の段階で更新。自身の就任後の2019年にマークした、これもイタリア代表記録となる「11」連勝をもすでに2つも更新した先にいま、完全復活を告げる53年ぶり2度目のユーロ制覇がすえられた。 対するスペインも2大会ぶり4度目の頂点を視界にとらえている。激戦必至の準決勝は舞台をロンドンのウェンブリースタジアムへ移して、日本時間7日の午前4時に注目のキックオフを迎える。