「ベビタピトーキョー」に「トイカメラ」…Z世代の次“α世代”にウケるヒット商品の共通点は?
● 「クリエイティブ」なα世代が増加、インフルエンサー、YouTubeのα世代も登場 3つ目の特徴としては、α世代はクリエイティブである点が挙げられる。この特徴は、本テーマとなるヒット商品とも関連してくるものだという。 「彼らは幼い頃からインターネットが身近にあり、デジタルデバイスに早くから触れる環境で育っています。SNSにも頻繁に接しており、特にZ世代の兄姉がいる場合、彼らがスマホやSNSの使い方を親に代わって教えてくれることがよくあります。このような影響もあり、α世代は自分を魅力的に見せたり、コンテンツを自ら作ってSNSで発信するといったことを早い段階から自然に経験します」 「特に顕著なのは、動画制作のスキルです。動画を撮影し、それをテキストのように編集して発信するというクリエイティブな行動が、彼らの日常生活において習慣化しています」(同) ● α世代の親の教育傾向は? 2024年時点ではα世代は未成年であり、その価値観や行動には少なからず親の子育てや教育方針といったものが強く影響していると考えられる。彼らの親世代はどんな考え方を持っているのか。 α世代の親であるミレニアル世代には、子どもに対して『モノ』よりも『体験』を重視する傾向が見られるという。 例えば、『テストで良い点数を取ったら欲しいものを買ってあげる』とか『お小遣いアップしてあげる』といった、いわば“ニンジン”をぶら下げるやり方がこれまで一般的だった。 何かご褒美をあげるからそのかわりに勉強頑張りなさいというように、モノを買う、モノで釣るという消費が、教育ではこれまで確かにあった。
しかしα世代の親は、モノを与え子どもの頑張りを引き出すのではなく、さまざまな体験を早い段階でさせ、その中から子ども自身が興味を持つことや強みを見つけさせようとしているという。 「これは『何かを与える』より『何かを体験させる』ことを重視する志向であり、従来の『モノ消費』から『コト消費』への移行が見られると言えます」(大宮代表) α世代ラボによれば、この「コト消費」の傾向は、上の世代であるZ世代と比べて大きな違いがあるという。Z世代の親は子どもに対し、すべての分野で平均以上の成績を残して、少しでも世間の評価の良い学校へ、あるいは進学校へという傾向が強かった一方で、α世代の親世代は学力、学歴重視ではないという。 「成績で平均点以上を取らなくてもいいから、とにかく一つの分野で突き抜けなさい。何か一つ秀でたものを見つけて、そこを伸ばしていこう。そんな教育を心がけている親御さんが多い。α世代の親は子どもの個性や才能を尊重し、それを最大限に引き出す教育方針が強く見られます」(大宮代表) ● α世代にヒットする商品の共通点は? あと5年もすれば、α世代も成年に達して国内のみならずグローバルな経済へと組みこまれていく。Z世代とは違う価値観と行動様式を持つ彼らにはどんな商品が好まれているのか、またその共通点はあるのだろうか。 「α世代にヒットする商品は、彼らや親世代の新たな価値観に応えているものが多いと感じます。」と大宮代表は解説する。 前述した「コト消費」「リアルとバーチャルとの融和」、そして彼らの「クリエイティビティ」を刺激する商品がその特徴だ。 「コト消費」の一例として挙げられたのが、「べビタピトーキョー」。「べビタピトーキョー」はTikTokやYouTubeなどで人気のインフルエンサーが店員を務め、原宿に店舗を構えるテイクアウト専用飲食店だ。色鮮やかなタピオカドリンクやスイーツといった“インスタ映え”するメニューが揃っている。 2024年のGWには、原宿店に150メートルの大行列ができ4時間待ちという人気ぶりだった。 大宮代表によるとα世代にヒットした理由は「SNS映えする商品」はもちろん、「フランクかつ手厚い接客」も大きな要因だという。べビタピトーキョーでは、インフルエンサーが注目した商品をデコレーションし、手渡ししてくれる。 その間に「今日は何しに原宿にきたの?」「今日の服可愛い!」というように話しかけてくれるのだ。タピオカドリンクを提供する際に発される定番の掛け声「ベビタッピ」がSNSで話題となり、それを聞きたくて来店するα世代も多い。 また、接客の様子や商品を動画で撮影してTikTokへ投稿するα世代も多く、再生回数は100万回を超えるものもある。ここでは、モノを買う行為がそのままSNSへと繋がっているのだ。リアルとバーチャルとの境目を感じさせない、むしろ融合することを目的としている消費行動が見られる。