80年代NYのグラフィティ界のレジェンド、フューチュラ（FUTURA）

──マーク・ジェイコブスとコラボレートを行うことになった経緯を教えてください。 マークと初めて会ったのは2020年頃だったと思います。彼の40周年記念が近づいていたことから、それを祝うために何かできないかという話しになりました。デザインやジュエリーなど、さまざまな人たちが各々1点アイテムを提案するというスタンスで進んでいました。私もその内の一人として、彼にいくつかのアイデアとデザインを提案したところ、彼は「カプセルコレクションにしよう」と、可能性を広げてくれたんです。 【写真を見る】、ブランド設立40周年を迎えたマーク ジェイコブスとコラボレート。カプセルコレクションを発表した。ポップアップを開催していたドーバー ストリート マーケット ギンザにて、マーク・ジェイコブスとの出会いから今想うことまでを語ってくれた。 ──実際に会ったのは最近なんですね。 おっしゃる通り、マークとは活動の場が違ったこともあり、なかなか直接的に知り合う機会はありませんでした。ところが比較的最近、「フリー・アーツ・ニューヨーク（Free Arts NYC/虐待や経済難に苦しむ子どもとその家族に、アートを通じてサポートを行う非営利団体）」の活動を通して彼と会ったんです。その際、私のことをもっと知ってほしいという思いから、マークを私のスタジオに招待したんです。そこからはニューヨーカー同士、すぐに意気投合して友人となり、コラボプロジェクトについて話すようになりました。特に計画をしていたわけではなく、お互いの友情やコミュニケーション、そしてアイデアの交換を通じて、より大きなプロジェクトを思い描くようになったのです。 ──フィールドは違えども、マーク・ジェイコブスのことは当時から知っていましたか？ もちろん。まだ若かった彼がシーンに登場したときから、彼の活躍をずっと見てきましたから。とりわけ、彼が1997年にルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターに就任したことは、大きな衝撃でした。彼はハイファッションの人間で、私はストリート寄りではありましたが、彼の動向は欠かさずチェックしていました。私自身、ルイ・ヴィトンの顧客とは言い難い立場ではありましたが、それでもスティーブン・スプラウスや村上隆といったアーティストたちと行ったコラボレーションはものすごくインパクトがあり、鮮明に記憶しています。