80年代グラフィティ界のレジェンド、FUTURAにインタビュー!
お互いが最も良いと思う素晴らしい着地点が、このコレクション
──今回のコラボアイテムの一番の推しは? 特筆すべきはマーク ジェイコブスのアイコン的存在であるトートバッグです。NYに住んでいると地下鉄や街中でよく、彼のトートを手にしている人たちの姿を目にします。ブランドが大切にしているシグネチャー的存在のものに、私がアートワークをほどこすということ自体ものすごくクールなことですし、素材や製造におけるクオリティまで、なんの惜しみなく提供してくれたマークの寛大さも感じました。とにかく自由にやらせてもらったので、たくさんアイデアが湧き出ましたが、その中からお互いが最も良いと思う素晴らしい着地点が、このコレクションなのです。
マーク・ジェイコブスは業界の革命児
──コラボレーションという概念が当たり前になるずっと前からコラボを行っており、これまでもア ベイシング エイプやユニクロ、ナイキ、G-SHOCKなど、多様なブランドとタッグを組まれています。コラボレーションにおいて大切にしていることは何でしょうか? コラボレーションの秘訣は、お互いをよく知り、お互いの芸術を尊重しあうことに尽きると思っています。確かに私は独立したブランドではない者たちが、大きなブランドや企業と一緒に仕事をする可能性という点では、新たな地表を切り拓いたかもしれません。ただ、コラボレーションというコンセプトの先駆者こそがマーク・ジェイコブスだと思っています。彼はスティーブン・スプラウスに、ルイ・ヴィトンのバッグにグラフティをペイントしてもらったのですから。あれは最高でしたよね。以来、多くの人たちが同じようなことを目指すようになりました。彼はまさに業界の革命児で、結果的に彼のアクションが私のような人間にも道を開いてくれることになったのです。 ── 70年代から長きにわたって第一線で活躍されていますが、特に90年代からNIGO®さんや藤原ヒロシさんとの繋がりがあり、裏原宿のカルチャーにも触れたと思います。当時の日本のストリートカルチャーのどこに面白さを感じましたか? 90年代半ばに初来日をしましたが、NIGO®を始めとするさまざまな人たちとの出会いは私の人生の岐路となり、今でも人生最高のときだったと思っています。30年近くも前に育んだ友情が今日も続いていることにこの上ない喜びを感じています。日本のクリエイターたちはアイデアはもちろん、緻密さや実践力など、すべてにおいて私たちのずっと先を行っていたので、私はスポンジのようにあらゆることを吸収しようと躍起になっていました。規律正しく、勤勉な日本の友人たちから多くを学んだのです。 また、日本の友人たちはみな懸命に働くだけでなく、クリエイションにおいても優れていた。そこで、当時まだあまり一般的でなかったAppleのPhotoshopやAdobeを使ったグラフィックデザインなどについても、とても多くのことを学びました。90年代の日本のカルチャーと友人たちは私の“センセイ(先生)”だったのです。誰もがキャリアをスタートさせたばかりでしたが、今ではみんなが上の立場になっている。今後はこのような友情やクリエイションの良き連鎖を、若い世代に引き継いでいけたらいいなと思います。