薬が体に害を及ぼすことも…「糖尿病薬で血栓」「降圧剤で血流低下による酸素不足」「コレステロールを下げる薬ががんリスクに」 服用前に知っておくべきこと
降圧剤をのむ前に考えるべきこと
いまや国民病となった高血圧も、すぐに降圧剤が処方されるケースが見受けられるが安易な服薬は避けるべき。 「そもそも、なぜ高血圧なのかをはっきりさせてから薬をのんで」と言うのは、長澤さんだ。 「高齢になると、関節の痛みなどで鎮痛剤を服用するかたは多い。最近の研究で、鎮痛剤は血圧を上げるリスクがあることがわかってきました。まずは鎮痛剤を減らすことで、高血圧が改善するケースもあります。 降圧剤によって血圧を下げすぎると、脳への血流が低下して酸素不足となるリスクも指摘されています」 水野さんも続ける。 「高血圧という診断自体をまずは疑ってみるべきでしょう。経験上、高血圧患者の8割くらいは薬が不要だと考えています。 降圧剤のひとつにカルシウム拮抗剤というものがあり、これは血管の筋肉にカルシウムが入らないようにして血圧を下げます。しかしこれは、実はマグネシウムの持つ働きと同じ。ですから、食事などからマグネシウムをしっかり摂ることで血圧が下がる可能性は大いにある。 血流が滞り血管が詰まる、ふらついて転倒するなど、『低血圧』による負の影響も懸念されます」 高血圧の場合、体内の水分量を減らして血圧を下げるために利尿剤が処方されることもあるが、ここにも落とし穴がある。 「排尿が促進され、体から水分がどんどん出ていきます。すると今度は、たとえば痛風の原因となる尿酸の濃度が上がる可能性が高まる。また、結石や腎障害の危険性が増すことになります。さらには体内のカルシウムも一緒に排出してしまうため、長期で使い続けるとカルシウムが欠乏し、骨粗しょう症になる恐れも指摘されています」(長澤さん)
コレステロールの薬で細胞が暴走することも
女性ホルモンの減少に伴い40代以降、特に更年期前後から女性を悩ませるのがコレステロール値だ。“悪玉”といわれるLDLコレステロール値が上昇するため、抑えるための薬が処方される。 「LDLコレステロール値が高い=健康リスクが高い、ということ自体が医療界では疑問視する声があります。コレステロールは、体の必須成分だからこそ肝臓で生成されていて、脳の神経を正しく機能するようコーティングしたり、細胞膜など細胞の材料として必要です。 体内の“運搬役”として細胞に材料を運ぶ役目もある。コレステロール値を下げるスタチン系製剤は、肝臓の働きを阻止しコレステロールの生成や機能を阻害してしまいますが、そうすると脳の働きが不安定になったり、細胞が暴走してがんのリスクが高まる可能性があります」(水野さん) 群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春さんは、気をつけるべき副作用について警鐘を鳴らす。 「スタチンには筋肉の細胞を壊してしまう副作用が見られることがあります。筋肉が溶けて痛みが出る横紋筋融解症は代表例です。 ほかにも体に力が入りにくい、筋肉痛が起きるなどのほか、筋肉をつくるたんぱく質が破壊され血中に出ることで腎不全につながることもあります」 ただし、遺伝性の家族性高コレステロール血症の場合は医師との相談が必要だ。 「遺伝性の場合、血栓を起こすリスクが高いのですが、実は血小板の異常も同時に遺伝しているという説もある。この説によれば、コレステロール自体は高くても体に悪さをしないということになる。そればかりか、高コレステロールの人ほど、免疫力が高い、がんになりにくいといった報告もあります」(水野さん・以下同) 更年期以降のホルモン変化で女性を悩ませるのは骨粗しょう症も同じ。しかし、安易に薬に頼るのも考えものだ。 「骨を丈夫にするのは、活性型ビタミンD3製剤です。これは、カルシウムの吸収を高めますが、同時にカルシウム濃度の上昇とマグネシウム不足が起きる。特に処方薬は、紫外線が当たって活性化した後のビタミンDなので強力にカルシウムの吸収を高める一方で、カルシウムが過剰になるというデメリットがあります。 マグネシウムが不足しやすく、前述の通り糖尿病を悪化させる可能性や、がんリスクが上がるともいわれています。カルシウム過剰で溶けきれないカルシウムが体のあちこちにくっつくと、関節痛や動脈硬化を引き起こす恐れもあります」
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