「人口減少社会」では民主主義は機能不全に陥る
<参考資料> 第10回全世代型社会保障構築会議(2022年12月7日) 本日配付してもらった資料8です。面倒だけれども作ろうかと思わせてくれた医政局には感謝しております(資料8「データによる見える化と同様に重要な、政策形成過程の可視化――政治経済学者から見る社会保障論」)。 資料の1ページの下のほうの②で「地方の地域が、各地で離島に似たような状態になっていく」と書いています。これは意味が分からないかなと思うので、説明しておきますと、そういう人口減少問題に対応できるのはプライマリ・ケアとか総合診療医です。OECDの平均では、プライマリ・ケア医は1人で1180人ぐらいの地域住民を見ている。
日本では、専門医の必要数についてなかなかデータがないのですけれども、ただ、循環器内科専門医の必要医師数の論文があるのですが、それだと日本に大体9000人が必要と試算されています。これで日本の人口を割ると約1万3000人。つまり、プライマリ・ケア医は人口が少ないところでその地域の8割から9割の医療ニーズに対応できるわけですけれども、離島ではプライマリ・ケアでしか機能しないわけで、循環器内科が離島にいるという状況を考えると、仕事もないし、その地域の医療ニーズにはほとんど対応できていないというような状況になります。
だから、人口減少が進んでいる地域ではプライマリ・ケア医とか総合診療医を求める声というのは悲鳴のような声で上がっています。ところが、トップが東京とか大阪の人たちの組織からはそうした声が出てこない。それは必然です。 ■都市圏の開業医たちはやりたくない あのときの医師需給分科会の主なメンバーは、クリニックの院長になるためにも地域医療での経験要件を組み込もうと考えていました。 しかし、いつものように(従来の政策形成のあり方に)ブロックされて地域医療支援病院のみとなった。そのときにわれわれが出していた条件が、認定資格そのものはJCHO(独立行政法人地域医療機能推進機構)とか済生会とか日赤(日本赤十字社)というような病院の院長資格に使うことができるようにしておいてくれということでした。法律の立てつけはそうなっていると思います。